キリガオカ(桐ヶ丘もしくは霧ヶ丘)って!?〜奥沢のかつて子供たちがスキーを滑っていた丘【情報提供】
※この写真は2023年2月4日撮影。双葉高校グラウンドのある高台。
ブログを書いていると、ありがたいことに読者さんから色んな情報が寄せられるのですが、その中で興味深い話題の一つが地名についてで、今回の地名についての情報は、住吉神社横の社ヶ丘の坂の記事を書いた際に、複数の読者さんから寄せられたものでした。
それは、社ヶ丘の坂を上って、さらにずっと山側に行った先の丘で、小学校の頃にスキー授業が行われていて、その丘が「キリガオカ」と呼ばれていた、というものなんです(コメント内容は、この急坂をスキーを担いで上った思い出についてでした)。
キリガオカ!?
私はその地名は聞いたことがなかったのですが、読者さんの話では漢字は「霧が丘」だったと思うが、違うかもしれないとのことでした。
で、場所は現在の双葉高校グラウンド(奥沢3)あたりということで、社ヶ丘の坂からは結構距離がある山側になるんですが、そのあたりは奥沢と入船の町境で、天狗山から続く尾根になっているので、周囲からみると、確かに小高い丘になっているんですよね。
それらのコメントをいただいてから、ずいぶんと経ってしまったのですが、その地名についてちょっと調べてみました。
※双葉高校グラウンドの場所はこのあたり。
キリガオカを調べる〜霧ヶ丘または桐ヶ丘!?
手がかりは、小学生の時にスキーを滑っていた「キリガオカ」。場所は現在の双葉高校グラウンドあたり。漢字は間違ってるかもしれないが「霧が丘」。
で、ネットや書籍などで調べてみたもののさっぱり分からず、これはダメだと思い、昨年(2022年)に市立小樽図書館のお力を借りて、調べていただきました。市立小樽図書様、ありがとうございました。
以下、今回キリガオカについて調査していただいた内容について、記述のあった文献とともに紹介しますね。
あっ、最初にお断りしておくと、キリガオカという名の漢字についは「霧ヶ丘」と「桐ヶ丘」の2通りの表記があって、結局、どちらが正式かは分かりませんでした。ここでは、引用元に準じて表記しますので、2つが混在するのでご了承を。
(入船から奥沢へと通じる道路(切り割り)。写真左が社が丘の坂から通じる道で、そのまま右手を上っていった先に双葉高校グラウンドがある)
双葉高等学校100年史 第3巻 1941⇒1962(昭和16年ー昭和37年)
双葉高等学校100年史に「桐ヶ丘」が出てきます。
昭和33年7月18日…「グラウンド整地作業いよいよ開始」という見出しで、双葉高校の五十周年記念事業の一環として発足したグラウンド建設で、予定地が「桐ヶ丘」付近という記述があります。
昭和34年7月17日…「新設グランドにスポーツハウス」の見出しで、桐ヶ丘のグラウンドもほぼ整地されているとの記述。
昭和34年12月18日…「雨で流れた祝賀運動会」の見出しで、屋外グラウンドの完成祝賀運動会が9月13日にこの新設グラウンドで行われたが、雨で午前中で散会という記述があり(桐ヶ丘の記述はなし)。
昭和35年12月19日…「運動会開かる!」の見出しで、大運動会が9月18日に本校桐ヶ丘グラウンドで盛大に開催された、という記述がありました。
以上の記述は、まさに双葉高校グラウンドのことですよね。で、場所が「桐ヶ丘」で桐ヶ丘グラウンドとも呼ばれていたんですね(今も呼ばれているのかな)。
小樽市立奥沢小学校学び舎の百年/小樽市立奥沢小学校開校百周年記念協賛会
「スキーのメッカ小樽」(p30)のページにて、「スキーの奥沢」の見出しで、奥沢の地形が格好のスキー場で、いくつもあるスキー場のひとつとして「桐ヶ丘」が出てきます。
その他のスキー場として、くり山、伏見の丘、日成ヶ丘、芹の沢、亀田の沢などが出てきて、これらの地名も気になるのですが、それはまた別の機会に。
それにしても、あちこちにスキー場があったことがうかがえますね。
これらのゲレンデは、今は宅地化され当時の面影はないとも書かれてます。
町会史/小樽市桜ケ丘町会
「町内の昔を語る座談会」の中で、有名なスキー場として「霧ヶ丘スキー場」ができてきます(p18)。
こちらの漢字は「霧ヶ丘」でした。
座談会の話としては、近くの聖ヶ丘スキー場の話がメインで、そこが奥沢の霧ヶ丘スキー場と並んで当時有名だった、ということが書かれています。
ちなみに、聖ヶ丘とは場所的にいうと、入船のFMおたる・小樽看護専門学校(旧小樽短期大学、さらに以前は旧小樽女子短期大学)のある高台(丘)一帯を指し、旧小樽聾学校の周辺がスキー場だったようです。
※関連記事:聖ヶ丘〜入船4丁目のFMおたるの建物のある高台(丘)一帯【小樽の丘のつく地名】
小樽のスポーツ 歴史と人脈/小樽体育協会創立90周年記念誌
「市内にあったジャンプ台のいろいろ」(p50)というコラムの中で、市内には施設としてしっかりしたジャンプ台のほか、簡単な木製で造られた台や、単に雪を積み上げて固めただけの台まで含めると、あちこちにジャンプ台がたくさんあったとのことで、そんなジャンプ台があった地名の一つとして「桐ヶ丘」があげられています。
桐ヶ丘に他には、汐見ヶ丘、小田の山、亀田の山、聖ヶ丘、日成ヶ丘、緑ヶ丘、手宮富士、手宮公園、梅ヶ枝丘、円吉山といった地名が列記されていて、これらの地名の中にもやっぱり気になるところがあるのですが、それもまた何の機会に。
(奥沢側の道路から桐ヶ丘と思われる位置の高台を見上げたところ)
おわりに
といった感じで、キリガオカ(霧ヶ丘/桐ヶ丘)の記述のある文献がいくつか見つかりました。
漢字としては、桐ヶ丘の方が使われていましたね(今後は桐ヶ丘を使うかも)。
名称の由来について書かれているものはなく、場所もだいたいの場所しか分かりませんでしたが、双葉高校グラウンドの場所としての桐ヶ丘以外は、スキー場(リフトなどの設備はなし)として言及されていました。
今回の地名の情報については、読者さんからも小学校の頃にスキー授業が行われたいた丘、という情報とともに寄せられていたのですが、まさにその通りで、かつて桐ヶ丘はスキー場として知られていたようですね。
当時はそういった〇〇スキー場と呼ばれた丘がたくさんあった、というのも興味深いですね。
街歩きをする際に個人的に「○が丘」といった「丘」がつく地名も気になっていて、図らずも今回はその「丘」がつく地名にも該当していて、このブログでも、今はほとんど使われない地名として日成ヶ丘、聖ヶ丘といった地名を取り上げているんですが、そういった丘も、以前はスキー場として親しまれていたということが、今回の調査で分かりました。
また、他にも今は耳にしない地名がいくつか出てきたので、今後の課題にしたいですね。
※「丘」についてはこんな記事を書いてます:【雑記】前から「丘」がつく地名が気になってるんです
※丘についての記事はカテゴリー「小樽の丘のつく地名」にまとめてます。
ということで、読者さんの記憶の通り、確かにキリガオカ(桐ヶ丘もしくは霧ヶ丘)という地名がありました。
昔に地名を調べるのは、なかなか興味深いですね。
情報をくれた読者さん、どうもありがとうございました。
そして、今回の調査に当たっては、市立小樽図書館様にご協力いただきました。あのわずかな手がかりから、該当文献を複数、それもとても素早く探していただき、とても驚きました。さすがです。どうもありがとうございました。
※結局、双葉高校グラウンドこのあたりが桐ヶ丘という、だいたいの位置しか分かりませんでした。
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※コメントで「霧が丘」についての情報をいただいた記事。
・住吉神社横の急な坂「社ヶ丘の坂(やしろがおかのさか)」
・住吉神社横の坂道は「社ヶ丘の坂(やしろがおかのさか)」〜坂の上からの眺めが変わりました
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