歴史的建造物 倉庫

2021年12月29日 (水)

北海製罐小樽工場第3倉庫は小樽市に無償譲渡に〜ひとまず解体は回避(この1年の動きを書き留めておきます)

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老朽化により、2020年秋に解体検討のニュースが流れ、その後、保全・活用に向けて検討が進められていた北海製罐小樽工場第3倉庫は、北海製罐が小樽市に土地・建物を無償譲渡することに決まりました。

さらには、北海製罐から当面の保全費として、市に1,000万円の寄付もあり、その贈呈式が2021年12月22日に行われたというニュースもありました。

所有権はすでに2021年12月17日に市へと移っているとのことで、これでひとまず小樽市指定歴史的建造物でもある北海製罐小樽工場第3倉庫は、解体という事態は回避されました。

このブログでもその動向に注目が大きかったこの件について、昨年秋からのこの一年の動きをここで書き留めておこうと思います。

解体検討のニュースに衝撃が走る(2020年10月)

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北海製罐の第3倉庫は大正13年(1924年)建築の鉄筋コンクリート4階建で、小樽市指定歴史的建造物にも指定されている、北運河入り口のランドマーク的な建物で、運河のこの一帯のシンボル的な建物でもあります。

ただ、激しい老朽化(海側の壁が崩れてきているとのこと)に加えて、コロナ禍による北海製罐の業績悪化もあって、2020年10月に、北海製罐が年度内に解体が検討しているというニュースが流れ、各所に大きな衝撃と動揺が走りました。

すぐに迫市長が北海製罐側と意見交換を行い、解体方針を翌2021年10月まで1年間先送りにすることになりました(まずはこの決定に北海製罐に感謝ですね)。

ここから、保全・活用に向けて検討が進められることになります。

第3倉庫活用ミーティング発足・活動(2021年1月〜)

さっそく保全・活用に向けて、小樽商工会議所と小樽観光協会が主体となった民間組織「第3倉庫活用ミーティング」が、年が明けた2021年1月14日に発足しました。座長は小樽の建築物の権威、北海道職業能力開発大学校・駒木定正特別顧問。

それに先だち、解体のニュース後すぐに、若者有志が「第3倉庫の次世代活用を考える若者ネットワーク Non-.」(ノン)を立ち上げ、倉庫の新たな活用策などをFacebookなどで発信するという市民の動きもありました。

第3倉庫活用ミーティングでは、何度も議論を重ね、周知のための様々なイベントも開催されました。

私もいくつか参加しましたが、多くの参加者があった第3倉庫の見学会、オープン勉強会、ライトアップイベントや関連する絵画の展示会などがありました。最後に延期となっていたシンポジウム「これまでの100年からこれからの100年へ」(10月17日)も開催されました。

(見学会より)
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第3倉庫活用ミーティング最終報告(2021年9月27日)

第3倉庫活用ミーティングから2021年9月27日、市に最終報告がされます(保全・活用策等をまとめた提言書を提出。提言書はA4・28ページ)。活用コンセプトは〜「これまでの100年」から「これからの100年」へ〜。

第3倉庫活用ミーティングが小樽市への提言を行いました | 小樽商工会議所
【提言書概要版】(pdf)
【提言書本書】(pdf)

提言書によると、当面の間、小樽市による土地・建物の所有と、国の登録有形文化財への登録の検討を求めた上で、保全・活用計画を2つのフェーズに分け、4年間程度(2025年度まで)を第1フェーズ「スタート期間」として運営体制づくりや建物補修、ブランディングなどを行い、2026年度からの20年間程度を第2フェーズ「本格的活用期間」としています。

報告では、第3倉庫活用ミーティングが実施した劣化調査で、コンクリートや鉄筋の健全性が確認されています(もちろん、外壁の劣化や外階段の腐食など危険な箇所もあるため、補修・整備は必要です)。

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建物自体もとても価値のあるものですが、それに加えて、小樽のまちづくりにおける第3倉庫の重要性や、市民を中心とする活動の場としての位置づけなどが報告されました。

※参照ニュース
北海製罐小樽工場第3倉庫 活用ミーティング最終報告会(小樽ジャーナル)
・2021年9月24日・28日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄
事例から学ぶ 小樽第3倉庫保全・活用シンポジウム(小樽ジャーナル)

市が無償譲渡を北海製罐に申し入れ(2021年10月18日)

第3倉庫活用ミーティングからの当面の間、小樽市が土地・建物の所有するべきという提案もあり、市は10月18日、北海製罐株式会社に小樽工場第3倉庫の土地・建物の無償譲渡を申し入れました。同時に維持・補修費の支援も要請しています。

※市が無償譲渡を北海製罐に申し入れる方針は、8月27日にすでに明らかにされていて、北海製罐側も理解を示しているという報道もありました。

“当面の間”という市の所有期間については、迫市長からは、一時的ではなく、市が責任を持って所有する意向も示されています。

※第3倉庫活用ミーティングは、いったん解散となってます。

※参照ニュース
・2021年8月28・29日付北海道新聞朝刊(解体回避へ市が無償譲渡申し入れへ)
・2021年9月28日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄(今後の活用案 所有は市が責任持って)
・2021年10月19日付北海道新聞朝刊総合欄(市が第3倉庫の譲渡申し入れ)
北海製罐小樽第3倉庫 無償譲渡依頼へ(小樽ジャーナル)

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北海製罐が土地・建物を無償譲渡(2021年10月28日)

北海製罐が10月28日に、解体を検討していた第3倉庫について、小樽市からの土地・建物の無償譲渡の申し入れを受け入れることを決めます。

これで、猶予期限の10月末を前に、解体についてはひとまず回避されることになりました。また、保全のための1,000万円を市に寄付することも決定されました。

北海製罐側が、独断で解体してもやむを得ないところを、早い段階で市や小樽商工会議所に打診してくださり、こういった方向に進んでくれたのは、市民としても嬉しい限りで、北海製罐に感謝ですね。

※参照ニュース
北海製罐小樽工場第3倉庫 無償譲渡へ(小樽ジャーナル)
・2021年10月28日付北海道新聞夕刊
・2021年10月29日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄、第4社会欄

おわりに(2021年12月現在)

そして、冒頭の通り、1,000万円の寄付の贈呈式が2021年12月22日に行われ、すでに北海製罐小樽工場第3倉庫の所有権も小樽市に移りました。今は公共施設です。

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これによって、昨年秋からの解体に関する問題については一区切りとなりますが、現在、第3号ふ頭周辺の再開発も行われようとしていますので、一帯の景観を維持しつつ、この歴史ある大きな建物を具体的にどのように保全・活用していくのかは、これからがスタートで、これからが本番ですね。

※参照ニュース
・2021年12月23・24日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄
北海製罐小樽第3倉庫 保存活用のための寄附贈呈式(小樽ジャーナル)

第3倉庫活用ミーティング | Facebook
小樽商工会議所 | 小樽商工会議所|公式ホームページ

【関連記事】
北海製罐小樽工場第3倉庫の建物内部の様子〜第3倉庫見学会&オープン勉強会に参加してきました(3月20日)
北海製罐小樽工場第3倉庫4階デッキからの風景(3月20日)【動画あり】
北海製罐小樽工場第3倉庫が5月3日~5日の期間でライトアップを実施
北海製罐小樽工場第3倉庫のVR映像が公開されていて、倉庫内をバーチャル探索できます
UNGA↑2階ギャラリーで「絵画で観る北海製罐第3倉庫」展開催(6月22日~6月26日)
北海製罐株式会社小樽工場(旧北海製罐倉庫)の歴史的建造物4棟について(事務所・工場・旧第2倉庫・第3倉庫)

※以下は解体関連のニュース(古い順から)
ニュースより/北海製罐小樽工場第3倉庫の保全・活用に向けた民間組織「第3倉庫活用ミーティング」が発足
ニュースより/解体が検討されている北海製罐小樽工場第3倉庫の保全・活用に向けて民間組織が発足
ニュースより/北海製罐小樽工場第3倉庫の解体は1年間の猶予・多喜二祭実行委が要望書提出・若者たちも保存活用に動き出す
ニュースより/北海製罐小樽工場第3倉庫が老朽化で解体を検討

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2021年6月26日 (土)

運河近くの小さな石造倉庫「旧嶋谷倉庫」は小樽市指定歴史的建造物〜あれ!?「シマ」の字が“島から“嶋”に!?

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小樽運河沿いの臨港線の1本山側の細い道路沿いに小さな石造の倉庫があります。

この倉庫は、小さいながらも小樽市指定歴史的建造物の「旧嶋谷倉庫」です。

明治25年(1892年)建築の木骨石造の倉庫です。

(その小ささでかえって目立ってるかも)
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場所は、臨港線沿いの中国料理レストラン「好(ハオ)」(こちらも小樽市指定歴史的建造物の旧通信電設浜ビル)の裏手になります。

(この臨港線の1本山側の細い通りは、かつて出抜小路と呼ばれた通りです)Otaru_20210615-151222

横は小樽芸術村のステンドグラス美術館(小樽市指定歴史的建造物の旧高橋倉庫)で、色内大通り側から見ると、小樽芸術村の旧三井銀行小樽支店(小樽市指定有形文化財)横の広場の奥に位置してます。

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小樽市のHP内から、建物の概要について引用させていただきます。

木骨石造の特徴をよく伝える小さな倉庫です。室内側に木で骨組みを造り外壁に石を積む構造です。木と石は「かすがい」(鋼の両端を曲げ、先を尖らせたもの)でつないでいます。この構造の建物は、小樽市内に約350棟あることが平成4年の調査で確認されています。
小樽市指定歴史的建造物第42号【旧嶋谷倉庫】 | 小樽市

ということで、小さくても小樽の歴史を今に伝える建物なんですね。

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※この建物に入っていた「北のアイスクリーム屋さん」は閉店したとのことです(閉店時期などの詳細は不明です)。

旧嶋谷倉庫の建物名の表記について

で、今回、市のHPの建物概要について改めて見て、あれ!?っと思ったのですが、建物名の表記が変わってました。
小樽市指定歴史的建造物第42号【旧嶋谷倉庫】 | 小樽市

以前は、建物名称の「シマ」の字は“島”でしたが、“”に変わってます。

実はこのことについて、市の建設部新幹線・まちづくり推進室にお尋ねしたのですが、表記に疑義が生じて調査したそうで、以前から両方の表記が存在しているものの、もとの会社「嶋谷汽船」の創業者血縁の嶋谷徹氏の著書「嶋谷海運業史」において、社名表記が「嶋」で一貫していることもあって、令和2年より「嶋」の字を採用することが妥当と判断し改めたそうです。

小樽市指定歴史的建造物の案内板の表記も変わっていました。

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※今回、旧嶋谷倉庫の建物名表記について、建設部 新幹線・まちづくり推進室にて確認させていただきました。また、北のアイスクリーム屋さん閉店の件も確認させていただきました。この場を借りてお礼させていただきます。どうもありがとうございました。

【関連記事】
あれ!?「北のアイスクリーム屋さん」は閉店してるの!?〜建物は小樽市指定歴史的建造物の旧嶋谷倉庫
※以前の旧嶋谷倉庫についての記事です。
こじんまりとした石造倉庫「旧島谷倉庫(現 北のアイスクリーム屋さん)」は歴史的建造物
※その他の関連記事
富岡町の気になる坂道を上ってみたら、その先に歴史的建造物の旧島谷汽船社長宅が建っていた

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2021年5月 4日 (火)

北海製罐小樽工場第3倉庫が5月3日~5日の期間でライトアップを実施

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老朽化により解体方針が示され、現在は保全・活用に向けての検討が進められている北海製罐小樽工場第3倉庫にて、このゴールデンウイークの5月3日(月)~5日(水)の期間、ライトアップが実施されています。

ライトアップの時間は午後6時~午後9時です。

主催は保全・活用に向けて発足した民間組織「第3倉庫活用ミーティング」で、制作はN合同会社、株式会社アートフル、株式会社KOO。北海製罐株式会社、株式会社福島工務店、株式会社YOSHIDEN企画の協力で実施されています。

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もともと2月の開催を予定してのを延期していたんですよね。ということで、3日に見に行ってきました。

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「鼓動」をテーマに光と音で演出ということで、以下は第3倉庫活用ミーティングのFacebookページからです。

~倉庫としての役目を終えた建物に再び息吹を吹き込む。
心音のような呼吸のような、有機的な音と連動した光の演出。
小樽運河、そしてこの街のまちづくりの象徴としての存在感を伝える~

第3倉庫活用ミーティング - 投稿 | Facebook

音楽と共に照明が、リズミカルに有機的に点灯する様子に、しばし見入ってしまいました。

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北海製罐の第3倉庫は、大正13年(1924年)建築の小樽市指定歴史的建造物にも指定されている、北運河入り口のランドマーク的な建物なので、保全・活用に向けてより一層の認知、魅力の発信といった狙いがあるそうです。

動画も撮ってきました。

ということで、北海製罐第3倉庫ライトアップは5月5日(水)まで、時間は午後6時~午後9時までです。

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(この日は気温が低く雨もポツポツ。見学時はとちょっと寒かったです)

第3倉庫活用ミーティング | Facebook

※関連ニュース
・2021年5月3日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄
北海製罐第3倉庫ライトアップ(5/3~5/5) | 小樽観光協会公式サイト「おたるぽーたる」
北海製罐小樽工場第3倉庫をライトアップ 光と音で「鼓動」表現 - 小樽経済新聞

【関連記事】
北海製罐小樽工場第3倉庫の建物内部の様子〜第3倉庫見学会&オープン勉強会に参加してきました(3月20日)
北海製罐小樽工場第3倉庫4階デッキからの風景(3月20日)【動画あり】
ニュースより/北海製罐小樽工場第3倉庫の保全・活用に向けた民間組織「第3倉庫活用ミーティング」が発足
北海製罐株式会社小樽工場(旧北海製罐倉庫)の歴史的建造物4棟について(事務所・工場・旧第2倉庫・第3倉庫)

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2021年4月13日 (火)

小樽に残る渋沢栄一ゆかりの建物〜NHKの大河ドラマや新一万円札で注目の実業家

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渋沢栄一を主人公にした、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」が、2021年2月から始まってますね。そして、渋沢栄一といえば、2024年に変わる新一万円札の肖像画になるんですよね。

あっ、ちょっと話が唐突でしたが、明治から昭和初頭にかけて活躍し「日本資本主義の父」などとも称され、生涯に約500もの企業に関わり、約600の教育機関・社会公共事業にも関わったという実業家・渋沢栄一は、小樽にもゆかりの建物が残っているなど、少なからず繋がりがある人物なんですよね。

ということで、その渋沢栄一ゆかりの建物について、今回はちょっと紹介してみようと思います。

北運河に建つ歴史的建造物の旧渋澤倉庫

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渋沢栄一は小樽では倉庫業に投資していたようですが、まずはその名前を冠して、小樽市指定歴史的建造物にも指定されている、北運河沿いの北浜橋の前に建つ「旧渋澤倉庫」がよく知られていると思います(※ここでの渋澤倉庫の表記は、小樽市のサイト表記に合わせています)。

3つの倉庫が前後に連なったような形が印象的な、明治25年(1892年)頃に建てられた木骨石造の倉庫建築で、現在はプレスカフェ(PRESS CAFÉ)とライブ・シアター・小樽GOLDSTONE(ゴールドストーン)が入っています。

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小樽市民には旧渋澤倉庫として馴染みのあるこの建物ですが、実は最初は遠藤又兵衛(富岡町の小樽警察署の上に小樽市指定歴史的建造物の「旧遠藤又兵衛邸」があります)が建てたものだそうで、渋澤倉庫(という会社名です)が小樽に進出した大正4年にこの建物を購入したそうです。

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他にもある旧渋澤倉庫の表記のある建物

さて、その他に「渋澤倉庫」という文字をどこかで見たことがありませんか!?

実は、小樽観光の象徴でもある小樽運河沿いに、「渋澤倉庫」の文字を見ることができるんですよね。

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先の北運河の旧渋澤倉庫には、建物に社名の表記はないのですが、小樽運河の浅草橋街園から見て右手に、旧渋澤倉庫の文字と、古い石造倉庫の壁面に見られる“印(しるし)”と呼ばれるマークが、はっきりと記された建物(倉庫)2棟が並んでいるんです。

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散策路から見ると、こんな正面にあるんですよね。

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ちなみに、昨年(2020年)夏から10月下旬にかけて、この建物に外壁工事が行われていて、現在はすっかりと綺麗になっています。

外壁工事前は、このような外観でした(2019年4月撮影)。
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運河と反対側の通りから見ると、建物は現在、店舗や駐車場などになってますね。Otaru_20190412-172647

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以前のニュースによると(2019年4月11日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄)、建物は現在も同社が所有しているとか(すいません、詳細は未確認です)。

そして、もう一箇所、あまり人目にはつかないかもしれませんが、先程、運河沿いの倉庫を見た浅草橋街園から、そのまま港方面に向かった、第2号埠頭の基部にも「渋澤倉庫」の表記を見ることができるんですよね。

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ここに関してはも、現在どうなっているかなど詳しいことは分からないのですが、「渋澤倉庫」の表記と印がはっきりと見られますね。

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渋澤倉庫は、小樽で数カ所に渡って倉庫を保有していたんですね。

第一国立銀行を前身とする旧第一銀行小樽支店

ゆかりの建物といえば、渋沢栄一は1873年(明治6年)に第一国立銀行を創業していますが、その第一国立銀行を前身とする旧第一銀行小樽支店の建物が、日銀通りと色内大通りの交差点の一角に今も建っていて、ゆかりの建物といえます。

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1924年(大正13年)建築の旧第一銀行小樽支店は、小樽市指定歴史的建造物にも指定されていて、現在は紳士服の縫製加工を行なっている、(株)トップジェント・ファッション・コアの社屋として活用されています。

小樽来訪時に旧開陽亭(旧魁陽亭)に宿泊

直接のゆかりの建物ということではないのですが、渋沢栄一は1908年(明治41年)に初めて小樽に来訪していて、8月16日〜19日にかけて3泊したという記録があるそうですが、その時に宿泊したのが、老舗料亭だった開陽亭(旧魁陽亭)だったそうです。

小樽市内各所を精力的に視察したようで、夜には宴会もひらかれたそうですよ。

旧魁陽亭(名称は創業期の魁陽亭から開陽亭、そして海陽亭と変わっています)は、2015年に営業を停止していて、その後所有者が変わり、現在は、建物所有者と小樽商科大学との共同研究によって、保存と活用に向けて亭内に残る様々な資料の調査・整理などが進められています。

(2018年4月撮影。現在はチェーンがあって敷地に入れません)
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その成果として、旧魁陽亭の150年に渡る歴史と遺産を紹介する冊子「旧魁陽亭-北海道を代表する老舗料亭-」が少し前に発行されたのですが、その中にも少しですが、渋沢栄一と開陽亭との関わりが記されています。

※参照:2019年4月25日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄(新一万円札の渋沢栄一 明治末期に小樽訪問)

おわりに

ということで、大河ドラマに新しい1万円札にと、渋沢栄一という人物の再評価とともに、注目度も高まっていますが、小樽にも残っている、渋沢栄一ゆかりの建物を紹介してみました。

街歩きをしていて、改めてこれらの建物を見ると、ちょっと新鮮な気持ちで見ることができるかもしれませんね。

※参照サイト・ニュース・書籍
小樽市指定歴史的建造物第20号【旧渋澤倉庫】 | 小樽市
・2019年4月11日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄(新一万円札の渋沢栄一ゆかりの建物)
新紙幣に採用、渋沢栄一と小樽 : ときどきの記 by 小樽の出版社“ウィルダネス”のブログ
・小樽チャンネルマガジン2020年10月号(vol.59)小樽れっけん「旧遠藤倉庫」

※総合博物館facebookページの参照投稿(澁澤倉庫についての投稿)
小樽市総合博物館 - 投稿 | Facebook
小樽市総合博物館 - 投稿 | Facebook

※参考
公益財団法人 渋沢栄一記念財団
渋沢栄一略歴|渋沢栄一|公益財団法人 渋沢栄一記念財団
澁澤倉庫株式会社 東京都江東区。倉庫業の他、流通加工や国際一貫輸送など総合物流企業。
紙幣刷新へ 1万円は渋沢栄一、5000円は津田梅子:日本経済新聞
新1万円札「渋沢栄一」紙幣デザインを発表 5年後めど発行 | 注目記事 | NHK政治マガジン
渋沢栄一 - Wikipedia

【補足:印(しるし)について】
小樽の古い石造倉庫の壁面には、“印(しるし)”と呼ばれるマークがよく見られますが、渋澤倉庫では、こちらの印が社名表記と一緒に記されていますね。

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これは、和楽器の鼓を立てて置いた状態の形に見えることから「立鼓(りゅうご・りうご」と呼ばれるものに、横棒の帯が入っていることから「オビリウゴ」とも呼ばれたものらしいです。

※印について参照
・「小樽散歩案内」(発行:有限会社ウィルダネス)
澁澤倉庫株式会社 創業者の精神
建物に掲げられた商人の証"印(しるし)" | 小樽市

【関連記事】
旧渋澤倉庫(プレスカフェ側)のずらりと並ぶ巨大ツララ【冬のちょっとした風景】
旧渋澤倉庫(現小樽GOLDSTONE)
小樽運河沿いの建物の外壁工事が終わったので記念撮影も大丈夫

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2021年4月 5日 (月)

北海製罐小樽工場第3倉庫の建物内部の様子〜第3倉庫見学会&オープン勉強会に参加してきました(3月20日)

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老朽化により解体検討のニュースが流れ、現在は保全・活用に向けて検討が進められている北海製罐小樽工場第3倉庫

その保全・活用に向けて発足した、小樽商工会議所と小樽観光協会が主体となった民間組織「第3倉庫活用ミーティング」主催の「北海製罐第3倉庫見学会&オープン勉強会」が、去る3月20日に開催されました。

見学会については、3月2日に参加者募集の案内があって、私もネットで目にして慌てて申し込んだのですが、翌朝の新聞にもその話題が掲載されると、ほどなく募集定員に達して受付が終了してしまい、注目度の高さが伺えました。

見学会は、9時、10時、11時、12時の4回で、所要時間は各50分、当初は各回20名計80名ということでしたが、結局、各回25名の参加だったようで、私はなんとか12時からの見学会に参加できました。

もちろん、私は建物内に入るのは初めてで、とても貴重な体験をさせていただきました。

建物内部の写真撮影、及びブログ掲載OKとのことでしたので、北海製罐小樽工場第3倉庫の貴重な建物内の様子をお伝えしたいと思います。

※写真が多い記事になっているので、トップページでは《続きを読む》という形にしてます。

続きを読む "北海製罐小樽工場第3倉庫の建物内部の様子〜第3倉庫見学会&オープン勉強会に参加してきました(3月20日)"

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2019年4月17日 (水)

有幌町に今も残る福井の北前船主による石造倉庫「旧中村倉庫」

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観光客で賑わうメルヘン交差点から、その先の臨港線との交差点まで行くと、交差点の右奥に大きな石造倉庫が建っています。

これは、福井出身の北前船主・中村三之丞によって、明治28年(1895年)に建てられた、歴史的建造物の旧中村倉庫です。

旧中村倉庫については、これまであまり詳しく紹介された資料を見つけることができなかったのですが、「小樽チャンネルマガジン」(株式会社K2)2018年7月号(Vol.32)の小樽商科大学によるシリーズ“小樽れっけん”にて、旧中村倉庫(有幌8号倉庫)が特集されていて、詳しく知ることができました。

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そもそも旧中村倉庫の建つ有幌町は、かつてはたくさんの石造倉庫が建ち並んでいたのですが、昭和40年代後半に、小樽運河の埋め立てを含む道路(臨港線)の建設事業によって、まず有幌町にあった石造倉庫が次々と解体されていったんですよね(これに危機感を持った一部の市民が立ち上がり、小樽運河の埋立反対、保存運動が起こることになります)。

で、小樽チャンネルマガジンの“小樽れっけん”の記事によると、有幌町に残る数少ない石造倉庫のうちの1つがこの旧中村倉庫で、これは有幌地区に多数あった中村家の倉庫のうちの8号倉庫とのことです。
※以下も“小樽れっけん”の記事によります。

この8号倉庫の南側(奥隣)は木造の7号倉庫になるそうで、現在駐車場になっている北側には9号倉庫が残っていたものの、平成19年(2007年)4月の火事で焼失してしまいます。

その火事で8号倉庫の北側の壁面も焼失して、その後、補修されたので、現在の綺麗な壁面になっているんですね。

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上に見える印、井桁三紋は、中村家の持ち船の旗印で、通用印でもあるそうです。

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平成22年(2010年)には屋根瓦を撤去して、現在の鉄板屋根への改装工事も行われています。

(こちらは海側の壁面)
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旧中村倉庫は、現在も倉庫として使用されているとのことです。

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ところで、旧中村倉庫の脇の通りに入っていくこと、短いながらもこの通り沿いには、今もいくつかの石造倉庫が静かに建っています。

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これらの倉庫も現在も現役で倉庫や店舗として利用されているようで、通りを歩くとひっそりとしていて、すぐ近くの賑やかなメルヘン交差点とは全く別の空間です。

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この風景は、かつての様子をわずかながらも今に伝えているようですね。

ちなみに、この石造倉庫の残る静かな通りを抜けると、西松屋やオートバックスといった店舗が集まる広いスペースに出るという位置関係です。

実は、「小樽チャンネルマガジン」2019年4月号(Vol.41)にて、連載中の町を“歩く”シリーズで、有幌町を歩いているので、よければ読んでみてください。
※バックナンバーはこちら:小樽のフリーペーパー「小樽チャンネルマガジン」 | 小樽チャンネル


 ということで、旧中村倉庫は、視界に入りやすい北側の開けた壁面が補修されて新しいため、あまり歴史的建造物としての趣がなく、そのせいか建物について語られることが少ないのですが、有幌地区という、かつての倉庫街という風景が大きく失われた地区に残る石造倉庫としてもとても興味深くて、歴史的建造物としてもっと知られてもいい建物のような気がします。

※参照:「小樽チャンネルマガジン」(株式会社K2)2018年7月号(Vol.32)の“小樽れっけん”旧中村倉庫(有幌8号倉庫)

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【関連記事】
有幌町の細い道路に石造倉庫が続く風景〜入口の大きな建物は旧中村倉庫!?小樽商大による冊子「小樽れっけん 小樽の歴史的建造物ものがたり」がとても詳しく興味深い!!


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2019年4月 1日 (月)

歴史的建造物の大規模な木骨石造倉庫「旧浪華倉庫」(現 小樽運河食堂)

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小樽運河の浅草橋の先の右手に、とても大きな石造倉庫が建っています。

この倉庫は、小樽市指定歴史的建造物の旧浪華倉庫で、現在は建物内に複数の飲食店が集まる施設・小樽運河食堂として活用されています。

旧浪華倉庫が小樽市の歴史的建造物に指定されたのが平成24年度なんですが、その指定時のニュースは当ブログでも取り上げたものの、建物についての個別紹介はしてなかったので、改めてここで書き留めておこうと思います。

歴史的建造物の旧浪華倉庫

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旧浪華倉庫は、大正14年(1925年)建築の木骨石造1階建で、大きくてこれぞ倉庫といった佇まいです。

建物概要について、小樽市HP内に記載があるので引用させていただきます。

市内に現存する木骨石造の倉庫の中でも比較的大規模な建物です。小屋組は、クイーンポストトラス(対束(ついづか) 小屋組)と呼ばれる洋風の構造で、屋根には当時採光用として設置された円形の小屋根があります。荷物を搬出入する開口部は、海側の壁面以外に運河側にも配置され、艀(はしけ)へ荷積みする利便さが図られています。運河の完成の2年後に建てられたこの建物は、運河の盛衰を見守りその歴史を今に伝える倉庫建築のひとつです。
小樽市 :旧浪華倉庫

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ということで、なるほど、小樽運河の完成の2年後に建てられたんですね。それにしても、本当に大きいですよね。

現在は複数の飲食店が入る施設「小樽運河食堂」となっていて、建物内にも入ることができるので、考えてみたら、内部もすぐに見られるということですね。

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ちなみに、この旧浪華倉庫を活用している小樽運河食堂内のお店については、今回はレポートはないのですが、建物に入るとラーメンや海鮮などのお店にお土産売り場があり、そして奥にはバイキングの大型店舗「浅草橋ビアホール」が入っています(現在は9店舗)。

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以降は建物内の様子です。

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奥にバイキングの「浅草橋ビアホール」。

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建物内はレトロな雰囲気です。

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そうそう、トイレが自由に使わせてもらえるようで、観光客にとっては助かりますね。

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こちらは禁止事項。

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ということで、歴史的建造物の旧浪華倉庫、現小樽運河食堂は、歴史的建造物を活用した観光スポットとして、頑張ってもらいたい施設ですね。

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ちなみに、この小樽運河食堂の海側は、毎年巨大なツララができることでも知られています(って、一部の方にですけどね)。
小樽運河食堂(旧浪華倉庫)には今年も大きなツララができてます


※参考:小樽運河食堂|海鮮、スープカレー、バイキングなど9つの飲食店が集まる運河沿いの施設 | たびらい

小樽運河食堂 メニュー:北海道バイキング - ぐるなび
小樽運河食堂(小樽/和食)<ネット予約可> | ホットペッパーグルメ

【関連記事】
平成24年度「小樽市指定歴史的建造物」に新たに3棟追加
冬のちょっとした風景〜街で見かけた「小樽ツララコレクション2019」


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2017年4月26日 (水)

北運河の端に続く歴史的建造物の3つの石造倉庫、旧増田倉庫・旧広海倉庫・旧右近倉庫

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観光客で賑わう小樽運河の中央橋から北側の手宮方面に向かうと急に人影がまばらになります。
途中からの北運河と呼ばれるエリアは運河の幅が40mと昔のままで、多くの船が係留されていて、そこは今も昔の面影を残す落ち着いた雰囲気の漂う、私も時々散歩するお気に入りのエリアです。

※写真は3月31日と4月14日撮影のものが混在していて、3月撮影分にはまだ雪が残っているのでご了承を。

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その北運河を端まで行くと、その先には大きな石造倉庫が3つ並んでいるんですよね。

今回はその3つの石造倉庫についてなんですが、それらはいずれも小樽市の歴史的建造物に指定されている、手前から旧増田倉庫、旧広海倉庫、旧右近倉庫で、3つとも明治時代に建てられたものなので、北運河に続いてここも昔ながらの倉庫群の面影を残してるんですね。

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ただ、実は北運河の散策路を端に向かって歩いてきても、倉庫が手前から横並びになっているので、肝心の倉庫の建っている様子がよく見えないんです。

もし北運河の端まで行ったなら、せっかくだからもうちょっとだけそのまま進んでみると、これらの倉庫をよく見ることができるんですよね。

特に一番奥の右近倉庫は、なかなか迫力のある倉庫で、正面の上部には一膳箸と呼ばれる「//」の印を見ることができます。

それでは、個別の建物について、小樽市HP内に建物概要の説明があるので、それを参考にさせてもらいつつ、ちょっと紹介しようと思います。

(裏側からの眺めです)
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旧増田倉庫

一番手前(運河側)に建つ旧増田倉庫は、石川県加賀市橋立町出身の北前船主・増田又右衛門によって、明治36年 (1903年)に建てられた、木骨石造2階建の倉庫です。

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小樽運河北端に建つ大規模な木骨石造倉庫です。 右隣に旧広海倉庫、旧右近倉庫と大規模な倉庫が並び、切妻面を連ねた小樽港独特の壮観な石造倉庫の往年の景観をしのぶことができます。 平成9年に大規模な修復工事が行われています。
小樽市 :旧増田倉庫

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※関連記事:旧増田倉庫


旧広海倉庫

旧広海(ひろうみ)倉庫は、石川県加賀市瀬越町出身の北前船主・広海二三郎によって、明治22年(1889年)に建てられた、木骨石造1階建の倉庫です。

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加賀に拠点をおいた海運商広海二三郎は、本倉庫を大規模な石造り(木骨石造)で建築しました。 この土地は、かつて手前まで海岸が迫り、正面の右手の方向に鉄道施設があったことから、海陸ともに荷物の輸送と貯蔵に最適な場所でした。 本建築は、荷を積み入れるため奥行きのある長方形で、採光のため屋根の中央と両側に段差を設けています。出入口のアーチは、壁面のアクセントとなっています。
小樽市 :旧広海倉庫

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※関連記事:旧広海倉庫


旧右近倉庫

旧右近倉庫は、福井県南越前町河野出身の北前船主・右近権左衛門によって、明治27年(1894年)に建てられた、木骨石造1階建の倉庫です。

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明治20年代としては大規模な倉庫で、小屋組にはクイーンポストトラス(対束小屋組)が用いられています。 隣の旧広海倉庫、旧増田倉庫との景観は、かつての倉庫街の面影を残しています。 妻壁の「//」印は、北前船主・右近権左衛門の店印「一膳箸」で、船の帆柱に掲げられた船旗にも使われました。 平成7年正面の壁が強風で崩れましたが、翌8年に現在の姿に修復されています。
小樽市 :旧右近倉庫

やっぱり、一膳箸と呼ばれる「//」の印が印象的なんですよね。

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※関連記事:旧右近倉庫


おわりに

ということで、今回は北運河の端に建つ、小樽市指定歴史的建造物でもある3つの倉庫、旧増田倉庫、旧広海倉庫、旧右近倉庫についてでした。

北運河の端には、運河公園があって、その奥には旧日本郵船(株)小樽支店の建物が建っていてと、この辺りは小樽散策にもいいスポットなんですよね。

【関連記事】
「小樽運河を端から端まで歩いてみる」の写真掲載〜勝手にタイアップ記事
北運河
運河/龍宮橋から北浜橋


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2016年10月20日 (木)

10月で閉店する小樽の人気のレストラン「海猫屋」に行ってきました〜レンガ造りが印象的な建物は歴史的建造物の旧磯野支店倉庫

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歴史的建造物を活用した、小樽の人気のレストラン「海猫屋」が、10月末で閉店するというニュースが先月に流れてから、あちこちで閉店を惜しむ声が聞こえてきます。

このブログでもそのニュースを取り上げたのですが(→小樽の人気のレストラン「海猫屋」が10月末で閉店〜建物は歴史的建造物の旧磯野支店倉庫)、やはり反響が大きくて、あらためてその人気の高さを感じました。

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色内町にある海猫屋は、1976年6月に喫茶店・ライブハウスとしてオープンして以来、今年で40年になるとのことで、昔は前衛舞踏などの舞台が行われていて、個人的にはその頃の印象が強いのですが、1990年に店内を大幅に改装して、現在の素敵なレストランとなってます。

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で、実はレストランには行ったことがなかったので、閉店のニュースを聞いて、なんとか食べに行こうと思っていたのですが、17日のお昼にようやくに行くことができました。


閉店前に海猫屋に行くことができた

閉店を前にしてかなり混雑している、というのは聞いていたので、時間を遅めに13:30頃に行ったところ(お昼は14:00頃までとのこと)、少しだけ待って、入ることができました。

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2階の大きく長いテーブル席に案内され、とても雰囲気のある店内で、食べたかったパスタをいただきました。

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こちらは以前から美味しいと話には聞いていた、ヘラガ二のトマトクリームスパゲティー。

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手をベタベタにしながら、ヘラ蟹と格闘しつつ、濃厚な味わいのパスタを堪能しました。
美味しかった〜!

こちらも人気メニューという、魚介スパゲティーをトマト味でいただきました。

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ボタン海老にヘラガ二、アサリやイカ、タコにウニも入っていたかな。とにかく盛りだくさんの、かなり贅沢なパスタでした。

この贅沢さなので、どちらも値段もそこそこするのですが、最後ですからね。そして、なんたって美味しいですから。

あ〜、こんなに美味しいなら、もっと何度も食べたかった…、というのは、よくある話です。
他のメニューも食べてみたかったですしね。

小樽にいて、いつでも行けると思っていると、なかなか行く機会がないものなんですよね。

そうこうしているうちに、こういうことになってしまう…
行きたいと思った時に、行っておくべきでした。

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海猫屋の歴史ある建物(旧磯野支店倉庫)について

レンガ造りが印象的な海猫屋の建物は、佐渡出身の商人である磯野進氏によって、明治39年(1906年)に建てられた倉庫・旧磯野支店倉庫です。

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以前から、歴史的建造物として知られた建物ですが、今年(2016年)、小樽市指定歴史的建造物に指定されたんですよね(まだ指定されてなかったんだ!?という印象でした)。

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建物概要について、小樽市のHPから引用させていただきます。

この煉瓦造りの倉庫は、小林多喜二の小説「不在地主」のモデルになった新潟県佐渡出身の商人である磯野進によって建てられ、佐渡の本店で醸造した味噌などを収納していました。壁の構造は煉瓦積みで、屋根は防火を考慮して瓦を使用しています。また、小屋組は木造でキングポストトラス(真束小屋組)という洋風の構造を用いています。地域のシンボル的な建物であり、平成3年に小樽市都市景観賞を受賞しています。
小樽市 :旧磯野支店倉庫

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今月末での海猫屋の閉店は決まってしまったことで、とても残念ですが、この貴重な建物の今後についても、気になるところです。

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おわりに

ということで、閉店前に海猫屋に行って、美味しいパスタを食べることができましたが、今月末で閉店とは、やっぱり残念です。

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先日、掲載しましたが、堺町通りのさかい家も10月23日で閉店してしまい、そしてこの海猫屋と、小樽の歴史的建造物を活用した、小樽ならではの古くからある人気のお店が相次いで閉店するのは、なんとも寂しいですね。

※海猫屋のサイト:小樽・海猫屋 -Otaru UMINEKOYA-
※Facebookページ:海猫屋(小樽)

【関連記事】
小樽の人気のレストラン「海猫屋」が10月末で閉店〜建物は歴史的建造物の旧磯野支店倉庫
堺町通りの喫茶「さかい家」は10月23日をもって閉店〜建物は小樽市指定歴史的建造物の旧久保商店


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2016年6月10日 (金)

小樽市指定歴史的建造物の旧荒田商会と旧高橋倉庫について〜もうすぐニトリの美術館 小樽芸術村として生まれ変わります

今回は小樽運河の浅草橋からすぐ近くの臨港線沿いに隣接して建つ、小樽市指定歴史的建造物の「旧荒田商会」と「旧高橋倉庫」についてです。

※写真が2016年2月3日撮影と冬の写真のなのでご了承を。
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通り沿いに旧荒田商会が建っていて、その奥に続いて旧高橋倉庫が建っています。

この2つの建物はこの度、家具・インテリア製造小売り最大手のニトリホールディングス(札幌)によって新たに美術館として、7月23日にオープンすることが決まってます。

ちなみに、ニトリはこの旧荒田商会と旧高橋倉庫、さらにはすぐ近くの旧三井銀行小樽支店という小樽の歴史的建造物3棟を改装して、3つの美術館からなる「小樽芸術村」を開設するということで、今回の建物の2館が先行オープンになります。

※詳しくはこちらの記事をどうぞ。
ニトリが小樽の3つの歴史的建造物で開設する美術館「小樽芸術村」がオープン間近で2館の名称も決定というニュース

改装後に看板などの建物外観がどのようになるのかは分かりませんが、改装前の建物の様子ということで、この冬の撮影した写真があるので、建物概要とともに掲載しておきたいと思います(以前も掲載したことがあるのですが、美術館開業前に改めてということで)。

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ちなみに、先日、建物前を通った時は、青いシートがかけられて、まさに開業準備中のようでした。

以下、写真は2016年2月3日撮影です。


旧荒田商会

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臨港線沿いに建つ、ちょっとモダンで趣きある建物が「旧荒田商会」です。

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昭和10年 (1935年 )建築の木造2階建てで、小樽市のHP内に掲載されている、建物概要からの引用です。

この建物は、荒田商会の本店事務所として建築されました。
現在は店舗に再利用されていますが、内壁の漆喰や、照明器具、窓枠は創建時の形態を伝えています。
石造倉庫が軒を連ねていた小樽運河沿いに建ち、背面の旧高橋倉庫や左隣りの旧通信電設浜ビルなどと中庭でむすび、歴史的景観のまとまりを創っています。
小樽市 :旧荒田商会

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旧荒田商会については、詳しくは分からないのですが、ここは海産物を商い、後に海運業までに成長した、荒田太吉商店の本店事務所として建てられたものだそうです(参考:建物紀行 荒田商会 (小樽ジャーナル)より)

また、引用文中には、“現在は店舗に再利用”と書かれていますが、今回の美術館開業までは2年近く未使用の状態が続いてました。

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旧高橋倉庫

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旧荒田商会の背後に建っている石造倉庫が「旧高橋倉庫」です。

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大正12年(1923年)建築の木骨石造2階建てで、同じく小樽市のHP内に掲載されている、建物概要から引用させてもらいます。

この建物は、大豆を収める倉庫として建てられました。
平成元年に改修され、店舗として再生しています。
前面は運河に面し、背面は出抜小路に接して建ち、周辺の歴史的景観を形成している建物のひとつです。
小屋組は梁を二重に架け2本の束を陸梁の中央付近で左右対称に立てるクイーンポストトラス(対束小屋組)と呼ばれる洋風の構造です。
小樽市 :旧高橋倉庫

ということで、建物の構造については、ちょっと難しくて一般人には分かりにくいでね(汗)

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こちらも今回の美術館開業前は、未使用の状態が続いてました。

(背面)
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おわりに〜建物の以前の活用について

実は、今回の2つの建物は、これまで何度か店舗として活用されているんですよね。

2012年(平成24年)4月からは、石原プロによるエンターテインメント施設「おもしろ撮影館」がこの2棟で営業していたのですが、2014年(平成26年)9月30日に閉館してしまい、以後は未使用状態でした。
石原プロによるエンターテインメント施設「おもしろ撮影館」が閉館してました

(おもしろ撮影館オープン時の様子)
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それ以前も、倉庫を観光用に再利用した先駆けとして、グラスショップとして利用されていたり、オルゴール海鳴楼が使用したりもしていたそうです(参考:建物紀行 高橋倉庫(小樽ジャーナル)より)。

今回、未使用の状態だった歴史的建造物が、大手ニトリによって、新たに美術館として活用されることになったのは、本当に嬉しいことで、市民や観光客に愛される施設になるといいですね。

【関連記事】
※以前のこの2つの建物についての記事です。
隣り合う小樽市指定歴史的建造物の「旧荒田商会」と「旧高橋倉庫」

※その他の関連記事
ニトリが小樽の歴史的建造物(旧荒田商会・旧高橋倉庫・旧三井銀行小樽支店)を改装して美術館を開設するというニュース
ニトリが小樽の3つの歴史的建造物で開設する美術館「小樽芸術村」がオープン間近で2館の名称も決定というニュース

旧三井銀行小樽支店
ブラタモリ小樽〜タモリさんの足跡を辿る【後編】《水天宮〜花園町〜銀行の集まる交差点〜旧三井銀行小樽支店〜北運河》


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