完成したての小樽運河の長さは!?〜小樽市総合博物館のSNSでの解説が勉強になります
小樽観光の象徴でもある小樽運河。その景観が好きで、私も時々訪れるのですが、その全長について、小樽市総合博物館のSNSの投稿で、気になるというか、ためになる投稿があったので、当ブログにも書き留めておこうと思います。
まず、現在の小樽運河の全長については、小樽市のHP内の「小樽運河 | 小樽市」にて、全長1140mと記載されていて、この数値は、時々当ブログでも引用させていただいています。
小樽運河で、観光客で賑わうのは浅草橋から中央橋の区間ですが、そこから運河はさらに北側(手宮側)に続き、幅は臨港線に沿った部分が半分埋め立てられて20mに、北側の通称・北運河と呼ばれるエリアは、当初のままの40mとなっています。
で、本題です。小樽運河の完成は大正12年(1923年)ですが、では「完成したての小樽運河の長さは、正確には何メートルなのでしょうか?」。
このことについて、小樽市総合博物館のSNSで、解説があったんです。まずは、小樽市総合博物館のTwitterから。
「完成したての小樽運河の長さは、正確には何メートルなのでしょうか?」これはすっきり答えられない難問です。
— 小樽市総合博物館 (@OtaruMuseum) June 29, 2022
大正12〈1923〉年の第一期埋立工事(この際に誕生したのが現在、観光地となっている「小樽運河」と呼ばれる部分)の完了時には、約1,300mです。」と答えるのが最も無難そうです。→ pic.twitter.com/1PxmtmTgnQ
この質問について、現状はすっきりと答えられる、明確な答えはないそうです。
一番無難な答えが(小樽市総合博物館のFacebookページより)。
「大正12〈1923〉年の第一期埋立工事(この際に誕生したのが現在、観光地となっている「小樽運河」と呼ばれる部分)の完了時には、約1,300mです。」
小樽市総合博物館 - 投稿 | Facebook
とのことなんですね。
“約”ということは、いくつかの数値が残っているそうなんです。小樽市総合博物館の投稿を見ると、文献から次のような数値が紹介されています。
※1,314m(渡辺悌之助『小樽運河史』1979年)
※1,324m(『小樽築港100年のあゆみ』小樽開発建設部、1996年)
※運河完成直後にまとめられた『小樽港湾修築誌』(大正13年)には、明示されてない。
※『小樽商工名録』(大正15年版)には、「七百五十間の運河を存置し」とあり、一間を1.82mとして計算すると、1,365m。
※『小樽港に関する調査書』(昭和3年と7年版)では「市街地と沿岸との間に長七百三十五間(中略)の運河」とあり、同じく計算すると約1,338m。
※『小樽の港湾と経済』(昭和12年)によると、「1,323米(m)」とある。
と、全体的に1,300m強の数値が示されているもののまちまちで、こういった数値がどのように算出されているのか明示されてなく、検証も今となっては困難だそうです。
なので、完成時の小樽運河の長さは、約1,300mと答えるのが無難という結果になるんですね。
そういえば、とてもお世話になっている書籍「小樽散歩案内」では、約1300mという表現を使っていました。さすが。
私もブログにそういった数値を掲載するときに、何を根拠にしたかというのは、とても大事なところなので、今回の博物館の投稿はとても勉強に、そして参考になりました。
→有力な数字では、1,314m(渡辺悌之助『小樽運河史』1979年)、1,324m(『小樽築港100年のあゆみ』小樽開発建設部、1996年)、『小樽商工名録』(大正15年版)には、「七百五十間の運河を存置し」とあり、一間を1.82mとして計算すると、1,365mです。→ pic.twitter.com/q3viYaqmng
— 小樽市総合博物館 (@OtaruMuseum) June 29, 2022
※Facebookページの投稿はこちら:小樽市総合博物館 - 投稿 | Facebook
※参照:小樽運河 | 小樽市
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コメント
小梅様 こんにちは。以前調べた資料です。何かの参考になれば。
小樽港修築埋め立て工事(大正3(1914)年~大正12(1923)年)にできた小樽運河の延長・幅員・水深について。
延長730間、幅員22間、水深8尺。参考資料:「小樽運河史」60・82渡辺悌之助1979
・尺・間を㍍に換算する。1尺 1/3.3㍍、1間=6尺 ∴ 1間 6/3.3㍍(1.8181…㍍)。
参考資料:尺貫法|大日本図書 https://www.dainippon-tosho.co.jp/unit/shakkan.html
・これをあてはめる
延長 730間:1,327.2727・・・㍍
幅員22間:40㍍
水深 8尺:2.4242…㍍
・間をメートルに換算するのに、分数を使うか小数点以下をどこで区切るかで数値は変わってきます。
█ 【参考】大正12年当時の運河の規格
・延長1,314㍍ 参考資料:「小樽運河史」60・82渡辺悌之助1979・82P
・延長1,324㍍、幅40㍍、参考資料:『小樽学』059・32P 小樽運河
・延長1,324㍍、「街の再生を目指して」北海道土木協会1989・24・50p・
・延長1,328㍍、「街の再生を目指して」北海道土木協会1989・66p
・総延長1,328㍍、「小樽市史」第9巻1396P
・延長1,328㍍、「小樽運河とその周辺環境整備計画」 小樽市 1981年 1P
・水深2.4㍍:「街の再生を目指して」北海道土木協会1989・24・50p
・水深2.5㍍:「街の再生を目指して」北海道土木協会1989・50p
・幅員40㍍:幅員については同じ
投稿: dialin6700 | 2022年7月 5日 (火) 07時09分
dialin6700さん、こんばんは。
お〜!すごい!!
dialin6700さんも調べられたのですね。
確かに、間のメートル換算の際にも、扱いによって若干数値が変わりますよね。
参考値を見ても、1,314、1,324、1,328と、やはり数値はマチマチですね。幅は40mですね。
いや〜、貴重な資料をありがとうございます。
今後の参考にさせていただきます!!
投稿: 小梅太郎 | 2022年7月 6日 (水) 01時29分