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2022年4月 6日 (水)

ニュースより/余市〜小樽間を含む長万部までの鉄路廃止と全線バス転換が正式決定【状況のまとめ】

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少し前にニュースで大きく取り上げられていたので、やはりこのブログでも取り上げておかないといけませんね。

2030年度末の北海道新幹線札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される並行在来線函館線の、長万部〜小樽間の鉄路廃止とバス転換の正式決定についてです。

とりわけ、最後まで注目されたのが、小樽〜余市間のバス転換について、つまりそれは小樽〜余市間の鉄路が廃止になるということなんですが、これまでの新聞報道などのニュースを元に、状況をまとめておこうと思います。

これ、沿線住民以外は実感が湧かない方も多いかもしれませんが、鉄路廃止ということは、塩谷駅と蘭島駅(もちろん余市駅も)がなくなる、ということなんですよね。

小樽市の迫市長は、第三セクターで鉄路を維持した場合の巨額な財政負担などを理由に、バス転換を容認したのですが、100年以上続いてきた鉄道を廃止するということで、かなり重たい判断だったようです。

(前方に塩谷駅。冒頭の写真は蘭島駅)
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では、以下がそのまとめです。

【経緯1】3月23日に小樽市がバス転換を容認する方針を固める

2030年度末の北海道新幹線札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される並行在来線の函館線、長万部〜小樽間のうち、長万部〜余市間については、先行して沿線自治体がバス転換を決定していたため、残る余市〜小樽間の対応が大きな焦点となっていました。

余市町は第三セクターによる鉄路維持を主張する一方、小樽市はしばらく態度を保留し、両市町と道は1月以降、調整を重ねますが、そんな中、小樽市が3月23日に余市〜小樽間のバス転換を容認する方針を固めます。

国の支援制度がなく、道によると、余市〜小樽間の経営分離後30年間の累計赤字は、第三セクターによる鉄路存続で206億円、バス転換で18億円になるとのことで、小樽市としては、やはり財政負担が大きすぎるため、鉄路の維持は難しく、もちろん、少なくとも現在の便数の確保など、利便性の確保が求められますが、バス転換に優位性があるとの判断でした。

小樽市は塩谷・蘭島地区などを対象に住民説明会を2巡実施し、鉄路存続の声を受け止めつつ、バス転換への調整を進めてきた、という状況でした。

余市町は、バス転換の条件として、鉄道並みの輸送力の確保とJR余市駅周辺のターミナル整備などを道に求め、道も前向きに検討を進める、という状況で、3月26日に3者協議を迎えます。

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※参照ニュース
・2022年3月24日付北海道新聞朝刊1面(小樽市バス転換容認)
・2022年3月25日付北海道新聞朝刊総合欄、小樽・後志欄(小樽市バス転換容認、道と協議へ)

【経緯2】3月26日に3者協議〜バス転換に合意

3月26日に道と小樽市、余市町の3者協議が小樽市役所で行われ、余市町の道への要求について、最大限努力するという確約を得たことを受けて余市町がバス転換を受け入れ、すでにバス転換を容認していた小樽市と、3者がバス転換に合意します。

これにより、1904年(明治37年)に全面開通し、通称「山線」とも呼ばれる長万部〜小樽間の鉄路について、沿線全9市町がバス転換容認となり、廃止が確実となりました。

住民の足ということを考えると、沿線住民の利便性の低下が懸念されるバス転換は難しい判断で、そもそもバス会社も、現状の人手不足や赤字で路線維持に苦労している状況なので、まだまだ課題は多いですね。

ちなみに、余市〜小樽間で、余市駅から朝の通勤・通学時間帯に乗る人は、約550人いるとのことで、廃止後にこの時間帯にバスによる大量輸送が必要になるということになります。

(余市駅)
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また、観光への影響も懸念され、例えば蘭島海水浴場は、鉄道でくるお客さんが多いでしょうから、廃線の影響は大きそうです。

(蘭島駅)
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※参照ニュース
・2022年3月26日付北海道新聞夕刊(バス転換3者合意)
JR北海道・余市-小樽間バス転換 3者会議で合意(小樽ジャーナル)
・2022年3月27日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄、1面、総合欄、第2社会欄(バス転換3者合意)

【経緯3】3月27日に沿線自治体と協議会〜バス転換正式決定

3月27日に長万部〜小樽間の沿線9市町と道が、倶知安町で協議会を開き、前日の小樽市、余市町、道との3者協議でのバス転換合意を踏まえ、同区間の鉄路廃止と全線バス転換を正式に決定しました。

基本的には並行在来線の分離は、新幹線開業時で合意されているとのことですが、現時点では未定で、バス転換時期の前倒しについての議論もあり、新幹線駅のできる倶知安町と長万部町の両町は、2030年度末より前倒しを求めているとのことで、今後協議が続けられるとのことです(小樽市も前倒しには条件によって柔軟に対応するという立場とのことです)。

JR北海道から経営分離される並行在来線函館線については、今後は長万部の先の長万部〜函館間の存廃議論が控えています。

※参照ニュース
・2022年3月28日付北海道新聞朝刊1面、総合欄、第1社会欄(廃線正式決定)
・2022年4月1日付北海道新聞朝刊総合欄(バス転換時期前倒しについて)

バス転換決定を受けて小樽市が4月下旬にも住民説明会

議論は2012年から始まっていましたが、実際のところ今回のニュースを追いかけていると、当初から鉄路維持のための財政負担があまりに大きく、バス転換が既定路線だった感は否めないようです。

ただ、全国的には、並行在来線は第三セクターで存続する道を選んでいることが多いそうで、今回のバス転換の決定に残念がる声が多いのも事実です(これまで並行在来線が廃止されたのは、長野新幹線開業に伴い分離されたJR信越線の横川〜軽井沢間のみだそうです)。

小樽市でも、決定後も鉄路存続を求める住民の声があり、市では4月下旬にも地域住民への説明会を開き、容認した経過などについての報告をし、改めてバス転換への理解を求める意向とのことです。

道からは、沿線住民の利便性確保に向けて、現在バス路線のない塩谷駅周辺から最上に抜けるバスの新ルート案の提示を受けているそうです。

※参照ニュース
・2022年3月29日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄(市民の声)
・2022年4月1日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄(住民説明会について)
JR北海道並行在来線方向性決定 4月下旬頃に住民説明会(小樽ジャーナル)

おわりに

ということで、余市〜小樽間を含む長万部までの通称「山線」とも呼ばれる鉄路について、鉄路廃止と全線バス転換が正式決定するまでの状況を、ニュースを元にまとめてみました。

小樽市では、塩谷駅と蘭島駅がなくなる、と聞くと、地域の住民でなくても、一気に身近な問題に感じられるのではないでしょうか。

(塩谷駅)
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(蘭島駅)
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鉄路廃止とバス転換時期については、前倒しになるのかどうかは未定ですが、それまでに塩谷駅と蘭島駅はもちろん、長万部までの山線にも乗って、各駅に行ってみたいと思っています。

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コメント

この廃線については存じ上げていましたが、
「蘭島駅がなくなる」という小梅太郎さんの
記事を読み、実感が湧きました。

夏休み小樽に帰省した際、子供達を連れて蘭島へ
海水浴に行く場合は、車で行ったものでしたが、
私が小学生の時、夏休みの水泳教室の会場は蘭島で、
汽車(電車ではありません)で行ったものでした。

蘭島駅から歩いてすぐの海。
他校の生徒と一緒に、震えながら泳いだものでした。

廃線。事情はよく理解できます。
しかし、当線、周辺駅をご利用されている方達は
大変になること、お察し申し上げます。

投稿: 猫見鳥 | 2022年4月 8日 (金) 08時09分

小梅様、猫見鳥様。今回の路線の廃止問題については、こちらでも一部のテレビ局のニュースでも報じられており、全国的にも関心を惹いた問題であることが伺われます。特に営業収益の悪い地方JR路線の廃止とバス路線への変更は、小樽だけにとどまらずに全国レベルの問題に通底するものがあるからなのでしょう。春~初冬のシーズンはバスでも運航に余り支障はないでしょうが、問題は、やはり冬場の運行ですよね。特に昨シーズンのように災害級の降雪ですとバスの定時運行は極めて困難になる、この点を危惧して鉄道路線の廃止に反対意見も寄せられていたのではないでしょうか。個人的な考えですが、せめて1月~3月半ばに限定してJRでの運行を再開するとか、出来ないものなのでしょうか。全面廃止はまだ先のことですから、今からでも冬場の運行を視野に除雪費その他の維持費を小樽市の方で積み立てしておくとか、出来るところから手を打てないものでしょうか。小梅さんも、猫見島さんも指摘されているように駅が無くなるというのは、肌感覚でJR路線の廃止を理解することが出来るので、とても大切な視点だと思いました。

投稿: 小樽望郷 | 2022年4月 8日 (金) 09時35分

小樽望郷様。

初めまして。

私は当ブログを長年毎日拝読している小樽出身、
現在関西在住の者であります。

ここ最近小樽望郷様が頻繁にコメントをお書きに
なられ、私同様遠くからの観点で小樽を見られている
と、貴コメントを興味深く拝見致しております。

雪、人口減、物流交通の発達、巨人都市札幌が隣。
小樽を取り巻く環境は大変であります。
自分なりにどう故郷に微力ながら応援出来るか、
毎日考えております。

ちなみに私はSNSのアイコン写真には、小梅さんと同じ
猫好きでありまして、近所の仲良しの猫の写真と小樽の
写真を貼付しています。

投稿: | 2022年4月 8日 (金) 22時41分

猫見鳥さん、こんばんは。
そうなんですよね。地域住民の皆さん以外では、なんとなく実感の湧かない廃線というのも、駅がなくなるという話になると、駅単位では思い出のある方も多いでしょうから、とても実感が湧いてきますよね。
やはり、蘭島といえば海水浴ですものね。
猫見鳥さんも、子供の頃は“汽車”で行きましたか!!
そうですよね。廃線の事情は理解できますが、地域住民の皆さんは、色々と大変になりそうですね。


小樽望郷さん、こんばんは。
この廃線のニュースは。かなり大きく取り扱われていましたね。
今回は、新幹線開通に伴い経営分離される並行在来線についてですが、赤字路線の廃線、バス転換というのは、全国的に各地で直面する問題でもあるのでしょうね。
バス転換となると、確かに冬は大変ですよね。
今後、解決しないといけないバス転換のための問題、課題はたくさんあると思いますが、なにより、沿線住民の利便性の確保を優先に、少しでもいい方向に向かうことを願っています。

投稿: 小梅太郎 | 2022年4月 9日 (土) 01時54分

関西在住の猫好き様。初めまして。小梅さんの本ブログは、日常生活で接する小樽のあれこれを、巧みに切り取られて作成されていらっしゃるので、ついつい、自分の懐かしい思い出と重なる部分が多く、自分でもコメントしすぎだなと反省しているのですが、生来、文章を書くのが好きなこともあって、コメントを寄せてしまうんです。申し訳ないです。小樽を離れた地域にお暮しの小樽出身者の多くが、自分なりに小樽に貢献できる部分はないものか、と考えていらっしゃることでしょう。私の場合は、新宿のデパートで北海道物産展があって、小樽の食品があれば買ったりしています。また仕事柄、色んな人と接することが多いので小樽観光を積極的に勧めたりもしています。私も進学・就職などの事情で小樽から東京に出ざるを得ず、また家族の関係もあって退職後も(定年はまだ先の事ですが)小樽には戻れなくなりました。人生もとうに折り返し地点を過ぎ、終盤に入ってしまいましたので、そんな焦燥感からも、本ブログの中に楽しかった小・中・高の小樽時代の自分や友達を見出しているんです。できれば小樽のことを自分なりに本にまとめて自費出版でもしたいなぁ、と考えているこの頃です。ただ仕事が直接、小樽と関わるものではないので、現実には難しいかもしれません。加藤浩次さん始め小樽出身の著名人は多いので(女優の宮本信子さん、京大名誉教授の岩村忍さんその他)、そういう人たちが活躍されているので、小樽の知名度も以前よりもずっと、人材輩出という面でアップしているとは思うので、嬉しいです。アっ!また長く書いちゃいました(汗)。

投稿: 小樽望郷 | 2022年4月 9日 (土) 07時00分

こんにちは。

全国各地で鉄道の廃線がある中で、まさか自分の故郷に関係する場所が。。。寂しいですね。
猫見鳥様も書いておられましたが、自分も子供の頃は、東京の通勤電車並みの混み具合の汽車に乗り(汽車に乗り込むタラップ?が一番の特等席でした)海水浴に行っていました。
また、冬にニセコ方面に行くときなどは、倶知安駅だと記憶していますが、停車時間を利用して熱々の蕎麦を買い電車で食べていた思い出があります。

何もできない自分には、廃線にするにしても、沿線住民の皆様方のこと第一に考えていただきたと、ただ願うばかりです。

投稿: 故郷に想いをはせて | 2022年4月 9日 (土) 13時14分

故郷に想いをはせて様

初めまして。

そうですね。夏休みの期間中、小樽・蘭島間の
汽車(電車ではありません)汽車は満員でしたね。

以前「FMおたる」の番組「ASAKATSU!」で、今後の
小樽をどうするか、私のリクエストに対応していただ
いたDJの田口智子さんが、小樽商工会議所の役員に
インタビューしていただきました。

結果「企業誘致は難しいので、兎に角若い人中心に
小樽に住んで下さい!」と仰っておられました。

先だってASAKATSU!で、道新小樽支局の方が、各地方
自治体の取り組みを色々紹介していただいておりました。

企業ではなく、「若い人の誘致」が今後の課題では
ないか、とのことでした。

投稿: 猫見鳥 | 2022年4月 9日 (土) 22時58分

故郷に想いをはせてさん、こんばんは。
まさに地元の、とても馴染みのある路線が廃線になるとは、驚きとともに、本当に寂しいですね。
やはり、汽車で海水浴に行ってましたか!!
確かに、とんでもない満員状態でしたよね。
その先のニセコ方面、倶知安駅にも思い出があるのですね。
本当に、鉄路廃止と全線バス転換が正式決定しましたが、今後は何より、沿線住民の皆さんのことを最優先に、いい方向に向かうことを願っています。

猫見鳥さん、なるほど「若い人の誘致」ですか!!
私もそうい視点ももって、今後の小樽に注目したい思います。

投稿: 小梅太郎 | 2022年4月10日 (日) 00時32分

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