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2021年9月 3日 (金)

かつて手宮線にあった旅客専用の手宮駅って!?〜古い写真がありました

旧手宮線の散策路を手宮方面に歩いていき、道道小樽港稲穂線(臨港線)も越えて行ったところに、こんな案内板が立っています。

旧手宮駅(旅客専用)
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場所は焼肉の「GAJA 小樽店」の裏あたりです。

手宮線の南小樽駅と終点手宮間で、唯一の中間駅だったのは色内駅なのですが、終点手宮駅と同じ名前で、途中に旅客専用の手宮駅が設置された時代があるんですね。

現在は、その痕跡はまったくないので知る由もなく、私もこの看板でしか知らなかったのですが、ちょっと、この旅客専用の手宮駅について調べてみました。

(このあたりです)
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(現地の案内地図より)
Otaru_20210704-154247t

旅客専用の手宮駅

まず、手宮線は1880年(明治13年)11月に官営幌内鉄道の一部として、手宮〜札幌間に北海道で初めて開通した鉄道で、1985年(昭和60年)に全線廃止になってます。

案内板にも書かれているのですが、旅客専用の手宮駅がここの置かれたのは、大正元年~昭和18年の間です。

本来の手宮駅が石炭輸送を優先するため貨物専用となり、旅客扱いを停止したための措置だったそうです。

旅客専用の手宮駅が写る写真

で、現在は旅客専用手宮駅の痕跡も何もないので、何かないかと探したところ、小樽市総合博物館所蔵の古い写真がありました。

※写真は小樽市総合博物館所蔵(大正10年頃撮影)
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※この写真は小樽市総合博物館の許可を得て掲載してますので、コピー等による二次利用は禁止です。

写真左下に見えるのが、旅客専用の手宮駅とのことです。なるほどこんな感じの駅だったのですね。

手前に線路が見えますね。

おまけ:古い写真が色々と面白い

手宮駅とは関係ないのですが、この写真で興味深い点がいくつかあります。

まず、左側に港の方向に向かう道路が見えますが、これは北浜橋ですね。その下に運河があるんですが、写真右側を見ると、運河の流れを確認できます。

写真は大正10年頃の撮影ということですが、小樽運河の最終的な完成が大正12年なので、運河もまだ工事中なのでしょうかね。

北浜橋を渡った、運河の向こう側の建設中と思われる建物は、北海製罐の建物群ですね。運河に並ぶ北海製罐の建物群は早いもので大正10年代の建築なので、まさにこの時に建築中でしょうか。

北浜橋の手前右にある建物が3つ連なった倉庫は、現在は小樽市指定歴史的建造物にもなっている渋澤倉庫ですね。特徴があるので分かりますね。

それにしても、港に船がたくさん泊まってますね。

石山の尾根の話(かつてあった痕跡の岩山)

そして、もうひとつこの写真で気になるのが、写真中央下にちょっとだけ顔を出している岩山のようなものです。

Temiyaryokyaku_hakubutukan_scn_0001
※写真は小樽市総合博物館所蔵(大正10年頃撮影)
※この写真は小樽市総合博物館の許可を得て掲載してますので、コピー等による二次利用は禁止です。

写真がどういう場所から撮影されたものかは分かりませんが、それなりに高いところから写されてますよね。これ、おそらくですが、石山(荒巻山)からではないでしょうかね(違っていたらごめんなさい)。

明治初年頃までは、石山(荒巻山)の尾根が現在のGAJA前の付近まで伸びていたそうです(ちょうど、旅客専用の手宮駅があった今回の写真の位置とあいます)。

その名残として、GAJA前を通る色内大通りは、不自然に曲がっているんですよね。これはせり出す岩山を避けるように道が作られたためだそうですよ。

Otaru_20210705-161023

(現地の案内地図より)
Otaru_20210704-154247t

かつて手宮線は、この道路の上を通っていたそうで、明治36年の大火後、現在の位置に線路が移り、石山の先端部も大きく削られたそうです。

この石山の尾根は、小樽の市街地と手宮地区の交通を分断していて、石山を削ってようやく道路(現在のバス通り)が開通したのは大正8年のことだそうです。

実は、その石山の尾根の痕跡と思われる岩山が、少し前まで残っていたんですよね。

現在、旧手宮線散策路の山側に、立入禁止の看板が立つ場所があって、そこの崖の上にその岩山があったんですが、以前から落石があったようで、いよいよ崩壊の危険が出てきたために、確か2019年秋頃に崖下に立入禁止のロープが張られ、2020年夏に撤去されました。

ここです。
Otaru_020210704-154152

こちらが、かつて崖の上にあった岩山(2017年9月撮影)
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こちらはバス通りから見た、かつてあった岩山(2016年9月撮影)
Otaru_20160921-155450

そして岩山撤去後(2020年8月撮影)。
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写真の岩山については、実際のところは、それなのかどうかは分かりませんけどね。

※関連記事:旧手宮線散策路の崖の上にあった岩が撤去されていました

おわりに

ということで、かつて手宮線にあった旅客専用の手宮駅につていてでしたが、後半の古い写真関連の話題のほうが長くなってしまいましたね。

けど、なんだか一枚の写真から、色々と読み取れて、とても興味深かったです。

※今回、古い写真を探すにあたり、小樽市総合博物館様に協力していただきました。この場を借りてお礼させていただきます。どうもありがとうございました。

※旅客専用の手宮駅の場所はだいたいこの辺り。

※小樽市総合博物館Facebookページの投稿より。

※参考
小樽散歩案内(発行:有限会社ウィルダネス)
小樽運河 | 小樽市
小樽市指定歴史的建造物 第76号 旧北海製罐倉庫(株) | 小樽市
小樽市指定歴史的建造物第20号【旧渋澤倉庫】 | 小樽市

【関連記事】
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コメント

なるほど、あの岩山は削られる前から気になっていましたよ。そうか、あれが道路の方まで伸びていて道路が曲がっているんですね。この近くは、例の宿のすぐそばなので私は詳しいですよ。古い写真からいろいろ推理するのは面白いですね。

投稿: John1940 | 2021年9月 4日 (土) 11時42分

John1940さん、こんばんは。
そうなんです。あの岩山は、かつて張り出していた石山の尾根の名残だそうで、その尾根が道路の方まで伸びていた名残が、現在のあの曲がった道路なんですね。
そうでした、いつもの宿のすぐ近くですので、このあたりは詳しいのですよね。
本当に、古い写真はよく見ると、色々と面白いですね。

投稿: 小梅太郎 | 2021年9月 5日 (日) 00時31分

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