旧魁陽亭の歴史と遺産を紹介する冊子「旧魁陽亭-北海道を代表する老舗料亭-」〜小樽商科大学と建物所有者による共同研究
メルヘン交差点から上って行く三本木急坂の途中の左手奥に、小樽市指定歴史的建造物の旧魁陽亭の趣ある建物が静かに建っています。
北海道を代表する老舗料亭だった旧魁陽亭は、小樽市の日本遺産「北前船」の構成文化財にも認定されていますが、近年は海陽亭として食事や亭内の見学ができたのですが、2015年に営業を停止しています。
その後、建物の所有者が変わり、建物所有者と小樽商科大学との共同研究によって、保存と活用に向けて亭内に残る様々な資料の調査・整理などが進められているんですよね。
で、その共同研究の成果として、旧魁陽亭の150年に渡る歴史と遺産を紹介する冊子「旧魁陽亭-北海道を代表する老舗料亭-」が少し前に発行されています。
研究の調査結果をまとめたものということで、Aサイズの77ページのボリュームで無料なのですが、部数が1,000部限定なんですよね(ダイジェスト版(日本語・英語)もあって、各1,500部発行されています)。
配布としては、市立小樽図書館と、旧小樽倉庫の臨港線沿いに入り口のある「 UNGA↑」で配布されているのですが、各100部ずつの配布というこことで、もう配布が終わっていたらごめんないさい。
旧魁陽亭共同研究公式サイトで無料ダウンロード配布をしているそうですので、冊子を入手できない方は、そちらからダウンロードするといいかもしれませんね。
※『旧魁陽亭−北海道を代表する老舗料亭−』発行 | 旧魁陽亭共同研究公式サイト
(旧魁陽亭の敷地には、現在はチェーンがあって入れません。2020年4月撮影)
旧魁陽亭の創業は、安政初期と伝えられるも詳しい資料は確認されていないということです。明治初期からこの高台で営業していたと伝わっていて、現在の建物は明治29年(1896年)に発生した大火で消失後、再建されたものとのことです。
その名は創業期の魁陽亭から開陽亭、そして、海陽亭と変わっていて、平成27年(2015年)の閉店まで北海道を代表する老舗料亭として営業を続けていたんですよね。
明治39年(1906年)には、日露戦争後に小樽で開催された樺太境界画定委員会議後の祝宴がここで開かれたことでも知られています。
冊子「旧魁陽亭-北海道を代表する老舗料亭-」につていは、まだ、全部読んではいないのですが、とても貴重で豊富な資料で紹介されています。
内容は、建物についてと亭内に残された貴重な遺産の紹介の後、魁陽亭、開陽亭、海陽亭、それぞれに時代について写真ともに解説。各コラムでは、訪れた著名人(伊藤博文や渋沢栄一、石原裕次郎など)なども紹介しています。
さらには、歴史や建築などについての論文や建造物の平面図、年表も掲載されていて、本当に内容の濃い、この冊子自体が貴重な資料となっています。
ということで、旧魁陽亭の研究成果をまとめた冊子「旧魁陽亭-北海道を代表する老舗料亭-」についてでしたが、この研究成果が今後の建物の保存と活用に大いに役立つといいですよね。
で、市民として気になるのが、その保存・活用の動きが現在、どうなっているのかというところで、以前の報道では、保存改修をして、隣接地に新設するホテルとともに一体開発をするというニュースがあったのですが、その後どうなったのか…
そちらの新しいニュースも待っています。
※旧魁陽亭とは | 旧魁陽亭共同研究公式サイト
※海陽亭 | KAIYOTEI
※関連ニュース
・150年の歴史・旧魁陽亭の研究成果を冊子に!(小樽ジャーナル)
・「旧魁陽亭」の歴史と遺産を冊子で紹介 小樽商科大学と民間企業が研究成果公開 - 小樽経済新聞
【関連記事】
・小樽商大が歴史的建造物「旧魁陽亭」の調査研究を紹介する公式サイトと公式Facebookページ開設
・ニュースより/歴史的建造物の「旧魁陽亭」が再生に向けて改修工事予定。隣接地に新設するホテルとともに開発
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