
北海製罐小樽工場第3倉庫が、老朽化により年度内(来年3月末まで)の解体が検討されているというニュースが流れたのが、1ヶ月前のことでした(2020年10月8日付北海道新聞朝刊)。
小樽市指定歴史的建造物でもある大正13年(1924年)建築の北海製罐の第3倉庫といえば、一度見たら忘れられない、運河ではちょっと異質な雰囲気も漂う印象的な、北運河入り口のランドマーク的な建物ともいえるので、解体のニュースには大きな衝撃が走りました。
※ニュースより/北海製罐小樽工場第3倉庫が老朽化で解体を検討

第3倉庫は現役と聞いていたのですが、現在は遊休施設とのことで、老朽化も激しく海側の壁が崩れてきていて、コロナ禍で北海製罐も業績も落ちており、保有が困難になったとのこと。売却も検討されたものの、市の分区条例で敷地用途が工場用にほぼ限定され、商業施設への転用が難しく解体が検討されています。
ニュースではすぐに市長からの、何らかの形で保存活用できないか早急に考えていきたい、といったコメントが掲載されていましたが、その後、いくつか動きがあったので、ここでまとめておこうと思います。
北海製罐第3倉庫の解体は来年秋まで1年間の猶予
まず、北海製罐が解体方針を来年秋まで1年間先送りにする、というニュースがありました。
2020年10月30日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄、及び第4社会欄に掲載されました。

ニュースによると、迫市長が10月20日に北海製罐側と意見交換を行い、1年間の猶予をもらえないかと打診をして、同社も小樽の将来の観光のあり方を考えた時に、強行に壊すわけにはいなかい、と要請を受け入れてくれたとのことです。
市は経済界やまちづくり団体、専門家を交えて、保存活用策を本格的に協議していくことになります。
が、といっても解体方針は基本的に変わってはいなくて、結論が出なければ、結局壊すしかないということになってしまうので、これからの議論の行方が気になるところです。
※関連ニュース:2020年10月15日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄(北海製罐第3倉庫内部取材記事)
多喜二祭実行委が第3倉庫の保存活用を訴える要望書提出
小樽ゆかりの作家・小林多喜二をしのぶ「多喜二祭」を市内で毎年開いている多喜二祭実行委が、11月6日に北海製罐小樽工場第3倉庫が多喜二と関わりの深い大切な場所だとして、迫市長に保存と活用を訴える要望書を提出した、というニュースがありました。

ニュースは2020年11月7日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄に掲載されていたのですが、小林多喜二の作品「工場細胞」の中には、第3倉庫がモデルの工場も登場しているんですね。
要望書では、北運河地域全体の開発を含めて要望されているようです。
※関連ニュース:北海製缶小樽工場第3倉庫保存へ要望書提出(小樽ジャーナル)
若者たちが保存活用についてFacebookなどで発信、ワークショップ開催
今回の第3倉庫解体のニュースを受けて、小樽の若者有志が活動を始めたというニュースもありました。2020年10月31日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄に掲載されていました。

解体まで1年の猶予ができたものの、解体危機に変わりはないと、若者有志が「第3倉庫の次世代活用を考える若者ネットワーク Non-.」(ノン)を立ち上げ、 #第3倉庫とともに未来へ をキーワードに、倉庫の新たな活用策などをFacebookなどで発信しています。
※第3倉庫の次世代活用を考える若者ネットワーク Non-. | Facebook ※Twitter:Non-. 第3倉庫の次世代活用を考える若者たちのゆるやかなつながりさん (@no3otaru)
11月7日(土)には、第3倉庫の保存活用について、ワークショップも開催し、他都市の歴史的建物の活用事例などを紹介して、活用方法を話し合ったそうです。若者の意見交換の場ということで、参加は35歳以下だったようです。
こうやって、若者たちがこの問題を他人任せにせずに、できることは限られているけど、自分たちのまちの問題として考え、学び、発信していこうといのは、なんとも素晴らしいことですね。おじさんも頑張らねば。
※関連ニュース:2020年11月8日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄
おわりに

ということで、やはり北海製罐小樽工場第3倉庫の解体のニュースは、各所で大きな問題として受け止められていますが、1年間の猶予でどういった方向に進んでいくのか、このブログでも、動きがあれば、随時お伝えしていこうと思っています。
【関連記事】
・ニュースより/北海製罐小樽工場第3倉庫が老朽化で解体を検討
・北海製罐株式会社小樽工場(旧北海製罐倉庫)の歴史的建造物4棟について(事務所・工場・旧第2倉庫・第3倉庫)
最近のコメント