勝納川から続くもうひとつの運河「第二期運河」
勝納川は、臨港線の勝納橋を過ぎると、左に大きく曲がり、幅が広く流れもゆったりとなります。
勝納川から続くここは「第二期運河」と呼ばれる、小樽のもうひとつの運河です。
現在は、特に活用はされていないようで、この幅の広い運河は、ただただ静かに流れ、その先で中央ふ頭と勝納ふ頭に架かる勝納大橋の下を通って小樽港へと注いでいます。
第二期運河の存在は、あまり知られていないかもしれませんが、そもそも、この第二期運河沿いを歩ける場所が少ないんですよね(なので、目にする機会が少ないです)。
第二期運河を眺められる場所は?
では、第二期運河を眺めたり、運河沿いを歩ける場所はどこか、ちょっと周辺をぐるりと歩いてみました。
まず、こちらは中央ふ頭の基部で、左手に勝納大橋を見る位置で、正面に第二期運河を見ることができますね。
勝納大橋を渡って勝納ふ頭側に行くと、かつない臨海公園があるのですが、その運河側には短い散策路があって、そこから少しだけ第二期運河を眺めることができます。
また、勝納川が勝納橋を過ぎたところ、つまり第二期運河の始まりあたりの海側は、勝納橋から新南樽市場方面に曲がって、戻る形で運河沿いを途中まで歩くことができます。
(勝納橋から見た勝納川。この先で左に曲がり第二期運河に)
(勝納川から第二期運河に)
(海側からの運河沿い)
(船がありますね)
ここから運河の対岸(山側)を見ると、広い敷地に建つ大きな建物が見えます。
これは、小樽市公設青果地方卸売市場です。
※小樽市公設青果地方卸売市場についてはこちらの記事をどうぞ:有幌町にある小樽市公設青果地方卸売市場ってどんなところ!?
小樽市公設青果地方卸売市場の敷地内は、通常は関係者以外立ち入り禁止ですが、別件で許可をもらって敷地内に入らせていただき撮影したのがこちらです(2019年3月27日撮影)。
また、臨港線が第二期運河に近づいて、道路脇から運河を見渡せる場所もあって(勝納橋のちょっと手前)、こんな感じで眺めることができます。
ということで、運河沿いをのんびり歩くという感じではなくて、ポツリポツリとではあるのですが、第二期運河を眺める場所はいくつかありました。
ちなみに、この第二期運河の山側の住所は有幌町になり、海側は住所が築港で勝納ふ頭になります。
第二期運河はどうやってできたの?
第二期運河って、小樽に関する資料を見ていても、ほとんど目にすることがないんですよね。
いつ、どのような目的で作られ、どのように利用されていたのか、そもそもこの呼び方はどこからきたのかなど、これまで詳細は知らなかったのですが、書籍「小樽運河史」(渡辺悌之助 著/志村和雄 発行)に、第二期運河についての記載がありました。
それによると、この第二期埋立運河が出現したのは、昭和11年ということですが、“出現”とはどういうことなのか、以下に「小樽運河史」の記載からちょっとまとめてみますね。
まず、現在のいわゆる観光客で賑わう小樽運河は、工事的には第一期埋立運河といったもので、これに対しての第二期埋立運河ということになります。
※書籍の中では、第二期運河、第二期埋立運河、第二運河といった呼び方がされていますが、ここでは以降、書籍の年表に書かれている「第二期運河」という表現を使います。
鉄道の国有法が公布となった年の明治39年11月、鉄道作業局(鉄道院)による小樽港南側の小樽第二期埋立工事が発せられ、明治45年4月に起工します。
並行して、兼ねてから計画のあった市(区)営第二期埋立工事が出願されるも、鉄道院の埋め立てに抵触して、明治45年に道から不許可となり、その後、幾度の計画変更によって、結局、許可がおりたのが大正14年11月のことです(ただし、鉄道院の埋立との兼ね合いで再度変更申請があり、それは昭和4年3月の許可となったとのこと)。
この市(区)営第二期埋立工事は竣工は昭和7年7月で、一方、明治45年4月に起工した鉄道院第二期埋立工事は、一時中断をはさんで、昭和11年12月に完成してます。
これによってどうなったかというと、市(区)営第二期埋立工事による陸岸(有幌町側)と、海側を埋め立てた鉄道院第二期埋立工事による海上造成地との間に、勝納川の河口を基準とした“運河”が形成されたとのことで、これが第二期運河の“出現”です。
その後、周辺には小樽市公設青果地方卸売市場や中央ふ頭・勝納ふ頭ができて、景観や運河自体の形態は当時から変化しているようです。
運河形成時、卸売市場前の護岸付近は、水中貯木場だったそうです。
(このあたりかな?)
ちなみに、運河の長さは、勝納川河口から中央ふ頭の基部(かつての入船川の排水路)までの約720mとのこと。
おわりに
ということで、よく分かっていなかった第二期運河について、書籍「小樽運河史」によって、ちょっとだけ背景を知ることができましたが、今後ここは、何かに活用する予定はないのかな。
※参照:「小樽運河史」(渡辺悌之助 著/志村和雄 発行)
※参考:小樽市 :小樽港要覧 小樽港の沿革と自然状況
※協力:小樽市公設青果地方卸売市場。通常は小樽市公設青果地方卸売市場の敷地内は関係者以外立ち入り禁止です。
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