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2017年11月25日 (土)

「小樽 蔵めぐり イラスト帖」〜小樽在住のイラストレーター今村敏明さんによる小樽の蔵を解説文とともに紹介するイラスト集

小樽は観光地なので、雑誌などにはしょっちゅう取り上げられますが、小樽の街並みや歴史などをより深く紹介する書籍となると、それほど数は多くはないかもしれません。

そんな書籍の中で、少し前(2017年6月)に出版されて気になっていた、小樽在住のイラストレーターの今村敏明さんによる「小樽 蔵めぐり イラスト帖」(発行:北海道新聞社)をようやく購入しました。

小樽 蔵めぐり イラスト帖
Otaru_20171025_191551

小樽の街には、かつての繁栄の面影を残す蔵が、今もあちこちに残っていて、この本はその蔵をイラストと解説文で紹介している本なんですが、これがなかなか詳しくて奥深くて興味深いんです。そもそも、蔵のみにスポットをあてているというのが珍しいですよね。

本の“はじめに”によると、1950年(昭和25年)の道の調査では、小樽市内に540棟の石造の倉庫や蔵があったそうですが、その数は年々減って、現在は350棟ほどになっているそうです(この本では、営業用倉庫は「倉庫」、民家のものは「蔵」と使い分けてます)。

この本には、著者の今村さんが描いた160棟から、描いた後に壊されたり痛みが激しくなったり、掲載を断られたものなどを除いた115等が掲載されています。そもそも原型をとどめないような改装が施された倉庫や蔵は、イラスト化自体を見送っているそうです。

この本の面白いところは、だいたい書籍やネットなどで紹介されている倉庫などは、市の歴史的建造物として指定されているものだったり、そうでなくても店舗として活用されていたりで、その建物概要が公表されているものがほとんどですが、ここに掲載されているのは、それらに加えて、普通では知ることのできない民家(個人宅)の蔵についても、解説文付きで掲載してるんですよね。

それは、著者の今村さんが、苦労して所有者を探して、掲載許可をいただき、取材をして実現したもので、完成まで10年かかっているそうです。

イラストという性格上、個人情報に関わる部分を隠して、建物そのものを見せることができるのもよかったかもしれませんね。そのイラストは、もちろんとても丁寧で、忠実に描かれた建物はとても細かく、さらに雰囲気のあるものです。

そうそう、興味深い話で、民家の蔵は母屋に付随していて、外からの入り口がなくて、母屋から出入りする仕組みになっているものが多いんだそうです。

Otaru_20171025_191540

掲載にあたっては、小樽を8つの地区に分けて、それぞれに地区ごとに蔵の位置を示す地図と、地区の見どころも紹介されています。

私はまだ、全部は読み込んでないのですが、眺めているだけでも、あっ!あそこの蔵だ!これはどこのだろう!?と楽しいですし、この本を片手に、実際に蔵めぐりも楽しそうですね。

けど、民家(個人宅)の蔵もあるので、迷惑にならないようにマナーを守って見学しましょう。そして、撮影(投稿)は控えた方がいいですね。

ということで、以上、「小樽 蔵めぐり イラスト帖」の紹介でした。


※参考
・2017.7.6北海道新聞朝刊「探る見る」(小樽の歴史 蔵でたどる)
朝日新聞デジタル:『小樽 蔵めぐり イラスト帖』 - 北海道 - 地域

小樽 蔵めぐり イラスト帖
A5変型判、160頁、1,600円(税別)


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コメント

今村敏明さんがイラストを担当している「おたる西洋館」という豆本があるのですが、そちらも素晴らしい書籍でした。「小樽 蔵めぐり イラスト帖」同様、歴史的建造物に指定されていない個人の邸宅が掲載されていて非常に面白かったです。因みに本の表紙イラストを含めた33の洋館のうち最低でも12の建物が取り壊されているみたいです。蔵も洋館も、小樽市が保存の道を真剣に考える時が来ていると思いました。

投稿: | 2017年11月25日 (土) 23時28分

そのような本があるとは知りませんでした!
「おたる西洋館」、覚えておきます!
そちらも個人の邸宅が掲載されているのですね。なかなか普通では知ることができない情報でしょうから、貴重ですよね。
けど、やっぱりすでに多くが取り壊されているのですか。
なんとか行政がらみで、保存の道を探ってもらいたいですね。

投稿: 小梅太郎 | 2017年11月26日 (日) 16時20分

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