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2017年4月 6日 (木)

三本木急坂を歩く〜坂の途中には歴史的建造物の海陽亭(旧魁陽亭)と猪股邸

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観光客で賑わうメルヘン交差点の一角にある小樽オルゴール堂本館の脇から、真っすぐ上っていく坂道があります。

この坂道には「三本木急坂」という名前がついているんです。

そして、この三本木急坂の途中には、小樽市指定歴史的建造物の海陽亭(旧魁陽亭)と猪股邸がある、ちょっと興味深い坂道なんですよね。

この坂道は、以前も掲載したことがあるのですが、こうやって改めて紹介するのは久しぶりです。

※写真撮影日時が、この冬の間の数回にわたってまちまちなのでご了承を。


三本木急坂について

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さて、まずは三本木急坂という名前についてですが、坂の途中には標識もある、結構知られた坂ではあるのですが、その勾配の表示は8%と小樽の坂の中ではそれほど急ではありません(というか、普通の緩やかな坂道ですね。例えば、船見坂の下のほうで15%あります)。

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ではなんで“急坂”という名前が付いているかというと、小樽市HP内広報おたる連載「おたる坂まち散歩」の「第6話 三本木急坂(さんぼんぎきゅうざか)」に、それにまつわる話が書かれてるんです。

今は急ではありませんが、かつては雪が降ると上れなくなるような急坂でした。
 このため、小樽郡役所では、2回にわたり道路を2メートルずつ切り下げました。1回目は明治15(1882)年で、左右の家が道路よりも高くなったため、住民は自費で家屋を切り下げました。2回目は明治18年、入船の大火の後でした。住民は焼け跡に家を新築しましたが、郡役所に今後の切り下げ計画が無いことを確認したにもかかわらず、2回目が行われたため、住民は再度の切り下げを余儀なくされ、大変怒ったそうです。
小樽市 :おたる坂まち散歩 第6話 三本木急坂(さんぼんぎきゅうざか)

ということで、元々急だったのが、2回にわたり道路を切り下げたことで、現在のように緩やかになったんですね。けど、住んでいた方々は大変だったでしょうね。

さらに“三本木”の名前の由来についてです。

三本木という名は、坂の中腹に三本のアカダモ(ハルニレ)の大木があったことに由来します。この木は、明治18年の切り下げで伐採されてしまいましたが、海を渡る船乗りたちの良い目印になるほど立派なものでした。
小樽市 :おたる坂まち散歩 第6話 三本木急坂(さんぼんぎきゅうざか)

ということで、今ではその当時の様子は分かりませんが、三本木急坂は三本の大きなアカダモ(ハルニレ)の木があった、とても急な坂道だったんですね。

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歴史的建造物の海陽亭(旧魁陽亭)

さて、坂を実際に上り始めると、間もなく左手に木製の塀が真っすぐ続く細い道が上っています。

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この先に、木々に囲まれてひっそりと佇む、小樽市指定歴史的建造物の海陽亭(旧魁陽亭)があります。

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※以前紹介した時の記事がこちら:「海陽亭(旧魁陽亭 )」はメルヘン交差点からの坂の途中に建つ歴史的建造物でもある老舗料亭

建築は明治29年(1896年)以降ということで、木造2階建の元々も料亭として建てられたこのとても趣ある建物については、小樽市HP内に建物概要が掲載されています。

明治初期に開業した料亭で、亭名は創業期の魁陽亭から開陽亭、海陽亭とかわっています。
建物は大半が大正期の増築ですが、2階大広間「明石の間」は、明治29年大火類焼時の再建と推定されています。
明治39年11月、日露戦役による樺太国境画定会議後の大宴会がここで開かれるなど日本史の舞台にも登場し、政財界など多くの著名人が訪れています。
小樽市 :旧魁陽亭

という老舗料亭で、現在も営業していたと思うのですが、元々冬の間は休業してるんですよね。

もう少し経ったら、また訪れてみようと思います(以前あった海陽亭のサイトに繋がらないようなので、ちょっと様子が気になってます)。

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(冬の間はこんな感じ。2017年1月撮影)
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歴史的建造物の猪股邸

三本木急坂に戻って坂を上りだすと、海陽亭の入り口からすぐのところにまた左手に真っすぐと上る道があります。

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その先には、ちょっと中国風の石門が珍しい、これまた歴史を感じさせる建物が建っています。

その建物が、明治39年(1906年)建築の小樽市指定歴史的建造物の猪股邸です。

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※以前紹介した時の記事がこちら:「猪股邸」はメルヘン交差点からの坂の途中に建つ中国風の石門が珍しい歴史的建造物

また、小樽市HP内に建物概要が掲載されているので引用させていただきます。

メルヘン交差点から南へ登る高台に位置するこの建物は、小樽に多い実業家邸宅の好例です。
外見は純和風造りですが、玄関左脇に洋風の応接室が設けられています。
右手が表座敷で、8畳書院の座敷と2室をつなぐ広縁がめぐらされています。
擁壁と一体の石蔵、石塀、石門に囲まれた敷地に建ち、外形がよく保存されています。
珍しい中国風の石門は、建築主の中国旅行のスケッチに基づくものといわれています。
小樽市 :猪股邸

案内板の下にも書かれているのですが、この建物は現在も住居として住まわれているようで、敷地内に立ち入ることはできません。

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なので、失礼して門の外から写真を撮らせていただいてます。

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おわりに

この三本木急坂を上りきると、その先はそのまま信香町へと下っていく坂道が続き、左には歩行者が通るだけの急な下り坂があり、右は南樽駅や小樽市立病院前を通って住吉神社の鳥居のある国道5号線まで続いてます。

ちなみに、先の信香町へと下る坂が「山ノ上の坂」で、左の急な下り坂が「赤坂」という名前がつてます。


ところで、最近、三本木急坂を歩く観光客の姿をよく見かけます。

(2017年1月撮影)
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南樽駅でも観光客の姿を時々見かけるので、メルヘン交差点から南樽駅を行き来する方々でしょうか。

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南樽界隈は、観光スポットとしてはインパクトにやや欠けますが、もともと繊維問屋が集まりとても賑わっていた地区なので、よく見ると古い建物が残っていたりして、街並みもなかなか味わい深いんですよね。

まあ、特別なインパクトはなくてもいいのですが、休憩できる場所やちょっと立ち寄ることのできるスポットがもう少し充実すると、観光客にも親切で喜ばれるかもしれませんね。

ということで、今回は三本木急坂の様子でしたが、その昔、著名人をはじめ、多くの人々がこの坂道を歩いていたと思うと、何だか見る目も歩く足取りもちょっと変わってきます。

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