小樽ゆかりの文学者・伊藤整と関わりのある建物「旧衣斐質店」【追記あり】
静屋通りとアーケードの都通りに間の細い静かな通りに、とっても気になる木造の建物があります。
これは「旧衣斐(いび)質店」の建物で、ここは小樽ゆかりの文学者・伊藤整ととても関わりのある建物とのことなんです。
※写真は3月5日撮影で、まだ結構雪が残っていました。
場所は、電気館ビルの裏手、人気のホルモン焼き屋「春香園」のある通りと言えば、分かる方も多いでしょうか。
実は、旧衣斐質店の建物自体はその味わい深さから、随分前から気にはなっていたのですが、伊藤整ゆかりの建物とは、昨年まで全く知りませんでした。
それを知るきっかけになったのが、その伊藤整の詩集「雪明りの路」にちなんで名前がつけられた、小樽の冬の風物詩ともいえるイベント「小樽雪あかりの路」なんです。
昨年、この旧衣斐質店の前で、小樽雪あかりの路の開催に合わせて、ロウソクが灯されたのですが、その際に、ここには伊藤整の親友、川崎昇という人が下宿していて、伊藤整が頻繁にここに来ていたということを知りました。
ちなみに今年もここでロウソクが灯され、その様子はこちらの記事で紹介してます。
→伊藤整ゆかりの旧衣斐質店前の雪あかりの路/「小樽雪あかりの路18」番外編:
今回、明るい時間に改めて見に行くと、玄関横に、いつの間にか伊藤整と建物についての解説文が貼ってありました。
以下、写真の解説文の書き起こしです。
大正15年 伊藤整は初めての詩集を出すにあたり「生涯の親友」川崎昇にその書名を相談し、川崎の意見を入れて「雪明りの路」としました。
その3年前の大正12年初夏、伊藤整が川崎昇と雑誌「青空」の復刊費用を捻出するため花園公園通りで「花と高商石鹸」を売る夜店を出した時に拠点としたのがこの「衣斐質店」です。二階の四畳半で金勘定する場面が自伝的小説「若い詩人の肖像」に描かれています。
ということで、この建物にそんな歴史的背景があったんですね。
それにしても、街中に今も何気にそういう建物が存在しているというのは、何だか小樽らしいかもしれませんね。
ただ、建物はだいぶ古くなってきてるみたいなので、今後がちょっと心配ですね。
※参考:北海道新聞朝刊折込紙「新ねっとわーく小樽」No.19「何これOtaru」〜「伊藤整ゆかりの家、旧衣斐質店」より
《追記 2016.5.6》
建物の後ろには、石造倉庫が建ってるんですよね。
(写真は2016年3月29日撮影)
横から見ると、建物と繋がってました。
こちらは静屋通り側から見たところで、以前はこちら側に建物が建っていたのでしょうね。
【関連記事】
・塩谷のゴロダの丘に建つ伊藤整文学碑
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コメント
お早うございます。いつも楽しく拝見させてもらっています。1日遅れのコメントですが、旧衣斐質店前の路地丁寧に紹介されていますね。好きで何度か描いていますが、詳しくは知りませんでした。貴兄の写真をお借りし模写しました。冬場なかなか小樽へ行けず、楽しませていただきました。
近いうちに以前のと合わせて記事にしたいと思います。数日後覗いて頂ければ幸いです。
投稿: やまぐち | 2016年3月20日 (日) 05時29分
やまぐちさん、こんばんは。
やっぱり、ここは目に止まっていたのですね。
旧衣斐質店の建物と路地は、本当に雰囲気ありますよね。
こちらのブログ写真が参考になるのは、とっても嬉しいです。
数日後に、そちらも覗かせていただきますね。
投稿: 小梅太郎 | 2016年3月21日 (月) 02時58分