稲穂町から手宮方面へと浄応寺の坂を下る
ちょっと前のことですが、手宮地区界隈をぷらりぷらりと巡ってきた際、手宮方面に行くのに稲穂町から歩いて色内小学校の前の坂を上り、そして「浄応寺の坂」を下って行きました。
今回は、その「浄応寺の坂」と呼ばれる坂道についてです。
(撮影は5月5日です)
坂の名前は坂の途中に建つ「浄応寺」が由来となっています。
今回は、稲穂町から手宮方面へと歩いて行ったので、浄応寺の坂を下る前に、そこに続く、これまた急な色内小学校前の坂を上ってきたわけですが、その様子は前回のこちらの記事で。
→市街地の稲穂町から手宮方面へ抜ける「色内小学校前の坂」
小樽駅前の国道5号線が、長橋方面に向かうのに左折する交差点をそのまま真っすぐ進むと、色内小学校前の坂道になるのですが、これがまた急なんです。
ここを上りきったところには、平成14年(2002年)に閉校した、円形校舎の旧石山中学校への入口があります。
この左手の先にはその円形校舎が今も残っているのですが、今ではとても珍しいので、いちど見学させてもらえないでしょうかね。
さて、ここから今回の急な浄応寺の坂を下るわけですが、これが下りだから楽っていうわけにはいかないんですよね。
はっきり言って、ズリッとアスファルトの上で滑って転びそうで、真っすぐ下るのが怖いくらいの急坂です。
途中のこちらも旧石山中学校の門です。
さらに坂を下っていくと、左手に立派な門が見えてきます。
ここが、坂の名前の由来となった浄応寺です。
※以下、浄応寺については、小樽市HP内の下記ページを参考にしてます。
・小樽市 : おたる坂まち散歩 第14話 浄応寺の坂(前編) (じょうおうじのさか)
・小樽市 : おたる坂まち散歩 第15話 浄応寺の坂(後編)
境内に入ると、坂の途中に建っているというのを忘れるくらい、広い境内に立派な本堂が建っていますが、初代の本堂が明治42年(1909年)に大火で焼失した後、大正11年(1922年)に再建されたものだそうです。
そして、以前も触れたことがありますが、この浄応寺には、事故にまつわる逸話が残されています。
ひとつは、大正13年12月27日に起こった、手宮駅構内で大爆発事故。
この爆発は、幌内炭鉱で使用する600余箱、約10トン半の火薬類を貨車に積み替える作業中に起きた事故でした。この爆発による死者は64人、行方不明者は30人もの多数に上りました。
急きょ、浄応寺の境内には、むしろが敷かれ、遺体を安置して検死作業が行われました。浄応寺の建物にも爆風により大きな被害が出ましたが、判別も難しい遺体が境内に並ぶ悲惨なありさまを目の当たりにした住職 島彰(しまあきら)氏は深く心を痛めました。
小樽市 : おたる坂まち散歩 第14話 浄応寺の坂(前編) (じょうおうじのさか)
とのことで、事故の一周年に慰霊碑を建てたそうですが、おそらくこちらの石組みの台座がその慰霊碑のもののようで、実際の上部の碑の部分は、戦時中の金属供出で失われたそうです(参考:書籍「小樽散歩案内」)
そして、もうひとつは火災にまつわる話で、昭和31年5月3日の夕方、色内小学校屋内石炭小屋から出火し、火は瞬く間に校舎を全焼し、坂の上にある石山中学校まで広がったそうです。
中学校の真下にある浄応寺では、本堂の屋根瓦が炎の放射熱で熱せられ、瓦の下の木がくすぶって煙を立てはじめました。寺が燃えたら、そのすぐ下から木造の長屋が並ぶ手宮方面に火災が広がるのは必至です。寺に駆けつけた安達市長は、燃えさかる石山中学校をあきらめ、手宮への延焼を防ぐために本堂を全力で守ることを消防関係者に命じました。
小樽市 : おたる坂まち散歩 第15話 浄応寺の坂(後編)
火はその後何とか鎮火し、寺と手宮はかろうじて守られたとのことです。
今はひっそりとしたこの浄応寺で、かつてそんな大変な出来事があったとは、想像もできません。
さて、浄応寺を坂道から見ると、石垣に囲まれているのですが、それにしても立派な石垣です。
(坂を見上げたところ。見にくいですが、右側に石垣があります)
急な坂道の途中に、広い境内を持つお寺を建てるために、こうやって石を積むのでしょうが、本当に見事でな石垣ですよね。
この石垣は、坂からの脇道にもずっと続いてました。
(脇道沿いの石垣)
さて、坂道に戻ってもうちょっと下っていくと、ようやく浄応寺の坂も終了で、そのまま真っすぐ行くと、手宮市場の前を通る手宮仲通りに出ます。
(坂を見上げたところ)
ということで、浄応寺の坂の様子でしたが、ここは稲穂町から手宮方面への抜け道になっているので、結構、車通りが多くて、歩行者は注意が必要ですね。
(平坦になってから見上げたところ)
【関連記事】
・手宮の浄応寺の坂を上って、色内小学校前の坂を下りてきた〜「浄応寺の坂」編
・手宮:浄応寺の坂《前編》
・手宮:浄応寺の坂《後編》
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