ニュースより/小樽市指定歴史的建造物の活用に課題
先月(7月)、小樽市が平成26年度「小樽市指定歴史的建造物」に新たに2棟追加し、このブログでもその話題を建物とともに取り上げました。
→平成26年度「小樽市指定歴史的建造物」に新たに2棟追加されました〜旧前堀商店・旧丸ヨ白方支店
その小樽市指定歴史的建造物ですが、1985年(昭和60年)から始まったこの制度も色々と課題があるようです。
2014年8月2日付 北海道新聞小樽・後志欄に掲載されていたニュースからです。
まず、この小樽市指定歴史的建造物についてですが、元々、「小樽市登録歴史的建造物」として指定候補があり、そこからさらに所有者の方々の同意を得て指定したのが「小樽市指定歴史的建造物」とのことで、小樽市HPによると、
本市では、昭和58年に「小樽市歴史的建造物及び景観地区保全条例」を制定し、以来、「歴史的建造物」の保全に取り組んでいます。
その後、平成4年には、前条例を発展的に解消し、「小樽の歴史と自然を生かしたまちづくり景観条例」を制定するとともに、貴重な建物の保存を図る上で基礎的な資料を作成するため、市内全域を対象に歴史的建造物の実態調査を行いました。
この調査を踏まえ、歴史的建造物として、保存すべきものを「登録歴史的建造物」として登録し、そのうち特に重要と認めるものを「指定歴史的建造物」として指定しています。
現在までに、「登録歴史的建造物」は90件登録され、そのうち73件は「指定歴史的建造物」として指定されています。
小樽市 : 「小樽の歴史と自然を生かしたまちづくり景観条例」に基づく登録歴史的建造物の保全事業について
とのことで、もう候補自体も少ないようですね。
新聞記事によると、小樽市指定歴史的建造物は、国や道で指定されていない建物のうち「戦前の建築」「保存状態の良さ」などの条件を満たす中から選ばれるそうです。
指定されると、外壁の色や素材を変えるといった、外観の変更は勝手にできないなどの制約がある代わり、現状を維持する外観の補修費は、600万円を上限に3分の1の費用を市が助成するとのことです。
ただ、それでもやっぱり、建物の維持・管理の所有者への負担はかなりのもののようです。
そして、課題となっているのが、未利用の歴史的建造物です。
新聞記事に掲載されていたのは、色内大通りに建つ「旧越中屋ホテル」について。
1931年(昭和6年)建築の鉄筋コンクリート造4階建のこの建物は、再活用された「小樽グランドホテルクラシック」が2009年2月15日(日)をもって閉館して以降、空き家状態となっているそうです。
(2012年4月25日撮影)
そういえば、旧小樽商工会議所も利用されてなかったと思うのですが、どうなってるんだろう。
(2012年4月25日撮影)
他にも、見晴らし坂の上に建つ旧板谷邸は、未利用の状態が続いた後、マンション建設の際に半分が取り壊されましたよね(修理を重ねても追いつかない状態だったようです)。
こちらの記事をどうぞ。→見晴らし坂を上って旧板谷邸へ
このブログでも、古い気になる建物はよく掲載してますが、なかでも小樽市指定歴史的建造物に関しては、小樽市による詳しい解説を引用させてもらいつつ、紹介させてもらってます。
建物の歴史的背景についても、容易に知ることができるので、とても助かりますし、より興味もわくんですよね。
小樽の歴史ある、そして趣のある街並を形作ってもいるこのような歴史的建造物が、今後も維持されて、一層活用されるようになるといいのですがね。
ランキングに参加しています。
にほんブログ村
スポンサーリンク
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- 祝津漁港にて群来が見られたそうです(2019年3月11日)(2019.03.13)
- ニュースより/今年も小樽の沿岸にニシンの群来(くき)がやってきた(2019年2月20日のニュース)(2019.02.22)
- ニュースより/2019年の「おたる運河ロードレース」はハーフが中止に(2019.03.11)
- ニュースより/JR南小樽駅の多目的トイレやエレベーター設置などのバリアフリー化が2020年度に完成予定(2019.03.07)
- 観光の街・小樽の顔「2019ミスおたる」の2名が決定(2019.03.03)
「 歴史的建造物 その他」カテゴリの記事
- 「海陽亭(旧魁陽亭 )」はメルヘン交差点からの坂の途中に建つ歴史的建造物でもある老舗料亭(2013.11.05)
- 平成26年度「小樽市指定歴史的建造物」に新たに2棟追加されました〜旧前堀商店・旧丸ヨ白方支店(2014.07.03)
- 平磯岬の高台に建つ豪華な銀鱗荘は歴史的建造物の旧猪俣邸(2017.08.09)
- 北海製罐株式会社小樽工場(旧北海製罐倉庫)の歴史的建造物4棟について(事務所・工場・旧第2倉庫・第3倉庫)(2017.08.17)
- ニュースより/現在未使用の歴史的建造物「旧越中屋ホテル」がホテルとして再開の予定【追記あり】(2015.12.28)
コメント
旧板谷邸が半分取り壊されマンションが建つという話しは、ここで初めて知りました。ネットであわてて検索し事情を知った次第です。こういう建築遺産を守り続けるのがどれほど大変か、ということなのでしょう。無くなってほしくないと思うのは対岸の火事を見る野次馬の言いたい放題的なものかもしれません。小樽の道路事情は今もよくわかってないよそ者ですが、水天宮からルタオまで坂を下りながら歩いた時に、偶然気づいたのがこの建物との出会いでした。板谷邸ということも知らなかった。寿原邸といい板谷邸といい、ロケーションのいい場所に建ってて、こういうところに住んでみたいものだなぁと思った次第です。寿原邸は現在見学可能かどうか知りませんが、一度だけ見学したことがあります。映画ラブレターのロケ地ツアーと称して、一人で一眼レフ携えて知りうる限りは回ってみました。今になると、板谷邸も見学しておけば良かったと後悔します。
投稿: junji | 2014年8月 6日 (水) 18時57分
junjiさん、こんばんは。
旧板谷邸は、今も門と建物正面部分は残っているので、かろうじてその面影は見ることができます。
半分が取り壊されたのは残念ですが、確かにそれは第三者の言い分であって、維持・管理するのは相当大変なんでしょうね。
この辺りは見晴らしも良くて、かつては他にも経済人の邸宅が建っていたそうです。
旧寿原邸は、確か一般開放を休止していると思います。
投稿: 小梅太郎 | 2014年8月 6日 (水) 22時08分